虹

虹は、天と地のあいだにかかる橋として読まれてきた。雨が上がって、光が戻ったほんのひとときだけ空に現れ、手を伸ばしても届かないまま消えていく。夢占いでは、願いがかなう知らせ、幸運が近づいている知らせとされる吉夢の代表。中世の日本では虹の立った場所に市を開き、旧約聖書では神が雲の中に置いた約束のしるしとされた。どこでも虹は、向こう側とこちら側がつながった瞬間の像になっている。
虹の夢
虹の夢が表すのは、希望、願いの成就、そして自分の中にある可能性。つらい時期のあとに見ることが多く、その時期が終わりに近づいている知らせとして読まれる。
読み分けの鍵は二つ。
- 虹がくっきりしていたか、薄かったか:色がはっきりしているほど、願いが形になるまでが近い。薄い虹は、まだ始まったばかりの流れ
- 自分と虹との距離:遠くに見上げていたのか、根元へ向かったのか、渡ったのか。虹に近づくほど、自分の手で幸運を取りに行く夢になる
虹が出る夢・虹を見る夢
いちばん基本の虹の夢で、吉夢。見上げて胸がいっぱいになったなら、長く抱えていた願いが報われる流れに入っている。目覚めたあとも気持ちが明るかったなら、その明るさが夢の答え。雨上がりの空にかかる虹は → 雨
二重の虹・たくさんの虹の夢
二重の虹は、幸運が重なる夢。仕事と恋愛のように、二つのことが同時に動き出す。三重、四重と虹が並ぶ夢や、空のあちこちに虹がかかる夢は、力を貸してくれる人が周りにたくさんいる知らせ。一人で抱えていたことを、人に頼んでいい。
虹を渡る夢
虹の橋を歩いて渡る夢は、今いる場所から、ひとつ上の段階へ移る夢。北欧神話では、虹は神々の国へ続く橋だった(下の「世界の象徴としての虹」)。渡りきった夢なら、新しい立場や環境にもう迎え入れられている。途中で足がすくんだなら、変わることへのためらいが残っている。
虹の根元へ行く夢
虹の根元には宝が埋まっている、という言い伝えがある(アイルランドの話は下の「世界の象徴としての虹」)。根元を探して歩く夢は、欲しいものがはっきりしてきた夢。たどり着けたなら、思いがけない収入や、ずっと探していた答えに出会う。たどり着けなかったなら、追いかける途中で見た景色のほうに、宝がある。→ お金
好きな人と虹を見る夢
二人で同じ虹を見上げる夢は、恋愛の吉夢。相手と同じ方向を向いて、同じものを美しいと思える関係が近づいている。片思いなら、その思いが伝わる機会がめぐってくる。一人で虹を見ていて、隣に誰かがいてほしいと感じたなら、心を開ける相手を迎える準備が整ってきている。→ 好きな人
虹が消える夢・薄い虹の夢
見ているうちに虹が薄れていく夢は、ひとつの出来事が終わって、次が始まる夢。消えたことを惜しむより、虹が出ていた間に受け取ったものを数えておく。
夜の虹・月の虹の夢
夜空にかかる虹は、珍しいものに出会う夢。人に知られていない才能や、静かに育ってきた縁が、ふっと姿を見せる。月明かりでできる虹なら、直感が冴えている。→ 月
海にかかる虹の夢
海の上の虹は、心の奥にある大きな気持ちと、願いとが結ばれる夢。穏やかな海なら、焦らずに待っていい。→ 海
虹の写真を撮る夢
幸運を形にして残したい、という気持ちの表れ。うまく撮れたなら、今の喜びを人と分け合える。撮れなかったなら、写すより目に焼きつけておく時期。
現実で虹に出会ったとき
- 朝の虹・夕方の虹:「朝虹は雨、夕虹は晴れ」という天気の言い伝えがある。朝の虹は西の空に出るので、西から雨が近づいている。夕方の虹は東に出て、西の空は晴れている
- 二重の虹を見た:外側の薄い虹は、色の並びが内側の虹と逆になっている。スピリチュアルでは、幸運が重なるしるし、良縁が近づくしるしとして喜ばれる
- 逆さ虹を見た:空の高いところに、笑った口のような形で出る虹色の弧。正しくは環天頂アークといい、雨粒ではなく上空の氷の粒が光を曲げてできる。めったに見られないので、スピリチュアルでは「天の笑顔」と呼ばれ、祝福のしるしとされる
- 亡くしたペットを思って虹を見た:「虹の橋」は、亡くなった動物たちが橋のたもとの野原で飼い主を待ち、再会したら一緒に橋を渡る、という散文詩。1959年、スコットランドの19歳の少女エドナ・クライン=レキーが、愛犬メイジャーを亡くして書いた。作者の名が確かめられたのは2023年のこと
日本の縁起
- 虹の立つところに市を立てる:中世の日本では、虹が見えた場所に市を開いた。虹は天と地、あの世とこの世の境に立つもので、その下に神々が降りてくる。市を開いて人が集まり、物を交わすことで、神を迎えた
- 虹は大蛇:「虹」の字の虫偏は、もとは蛇の形。古代の中国では、虹を空を貫く大蛇や龍の姿と見た。雄の虹を「虹」、雌の虹を「霓(げい)」と呼び分けたこともある。→ 蛇、龍
- 虹を恐れる見方:「虹は縁起が悪い」と言われることがあるのは、この面から。アイヌの人々は虹をラヨチと呼んで、魔物として恐れた。漢籍から入った「白虹(はっこう)日を貫く」も、不吉の兆しを表す言葉(下の「世界の象徴としての虹」)
タロットの虹
ウェイト版で虹そのものが空に描かれているのは カップの10 の一枚だけ。節制 には虹は無いが、虹の女神にちなむ花が描かれている。
- カップの10:空にかかる虹に十の杯が並び、それを見上げる二人と、踊る子どもたち。心から満ち足りた暮らしの札。虹の夢を見た日にこの札が出たなら、願っていた幸せの形がもう見えている。→ 家、結婚
- 節制:翼のある天使が、二つの杯のあいだで水を移している。水辺に咲くのはアイリス。ギリシャ神話の虹の女神イリスの名を持つ花で、天と地を行き来する使者を表す。虹を渡る夢のあとにこの札が出たなら、二つの世界のあいだで釣り合いを取る時期
世界の象徴としての虹
- ノアの契約の虹:旧約聖書の創世記。洪水が引いたあと、神は「わたしは雲の中にわたしの虹を置く」と言い、二度と洪水で地を滅ぼさないしるしとした。→ 雨
- ビフレスト:北欧神話で、神々の国と人の世界を結ぶ虹の橋。虹の赤は燃える火で、巨人たちが渡ってこられないようになっている。たもとでは見張りの神ヘイムダルが番をし、世界の終わりの日、炎の国の軍勢が渡るときに崩れ落ちる
- イリス:ギリシャ神話の虹の女神。神々の使者として、虹を道に天と地を行き来する
- 白虹日を貫く:古代中国で、白い虹が太陽を貫く空は兵乱の兆しとされた。白い虹は武器、太陽は君主を表す。刺客の荊軻が秦王の暗殺に向かったとき、この空が現れたと『史記』は伝える
- 虹の根元の金の壺:アイルランドの妖精レプラコーンは、虹の根元に金貨の壺を隠している、と語られる
中世の人々は、空に虹が立つと、その下に市を開いた。橋の下に人が集まり、品物と声が行き交うことで、降りてくる神を迎えた。夢に出た虹も、見上げて終わりにせず、その下で誰かと何かを交わしたときに、橋の役目を果たす。

関連する項目
今日の一枚
大アルカナから一枚。
