雨

雨は、天から降りてきて、洗い流し、潤すものとして読まれてきた。汚れを落とす清めの水であり、田畑を実らせる恵みの水でもある。夢の中の雨は、胸の内にたまっていた感情が流れ出していく姿で、夢占いでは吉夢とされることが多い。日本の縁起では、大事な日に降る雨を清めの雨、恵みの雨と受け取り、「雨降って地固まる」と、降ったあとの地面の固さに願いを託してきた。
雨の夢
雨の夢が表すのは、感情の流れ、浄化、そして恵み。こらえていた涙や、言えずにいた気持ちが、雨の形をとって降ってくる。雨は上がったあとに土を潤し、実りを連れてくるので、金運の夢として読まれることもある。
読み分けの鍵は二つ。
- 雨の強さ:静かな雨なら、気持ちがゆっくりほどけていく時期。激しい雨なら、抑えていた感情が一度にあふれている
- 自分が雨とどう関わったか:濡れたのか、雨宿りしたのか、屋根の下から眺めていたのか。濡れるほど、洗われるものも大きい
雨に濡れる夢
夢占いでは吉夢。全身で雨を受けて、古い疲れや、引きずっていた気持ちが流れていく。濡れて気持ちよかったなら、浄化はもう進んでいる。冷たくて震えていたなら、心が疲れていて、温めてくれるものを求めている。
好きな人が雨に濡れている夢は、その人を守りたい、そばにいたいという気持ちの表れ。傘を差しかけていたなら、その気持ちはもう相手に届きはじめている。
大雨・土砂降りの夢
抑えていた怒りや涙が、一度にあふれ出している。我慢を重ねてきた人ほど見やすい。強い雨ほど、流し去る力も強い。土砂降りの中を歩き通した夢なら、つらい時期を自分の足で抜けていける。
水があふれて家や道が浸かる夢は、感情に飲まれそうになっている知らせ。一人で抱えているものを、誰かに話していい時期。→ 水、溺れる
雨宿りする夢
少し立ち止まって休む時期。無理に進まず、雨がやむのを待っていい。軒先で誰かと一緒になった夢や、傘を差し出された夢は、思いがけない助けや新しい縁の知らせ。異性と雨宿りしていたなら、その人との距離が縮まっていく。
雨漏りの夢
守られているはずの場所に、気がかりが入り込んでいる知らせ。天井から漏れていたなら、自分では手の届きにくいところで何かが傷みはじめている。家族のこと、暮らしの足元を見直す時期。雨漏りを直していた夢なら、その手当てはもう始まっている。→ 家
雨を窓から眺める夢
屋根の下から外の雨を静かに見ている夢は、感情と少し距離を置けている状態。落ち着いて物事を考えられる時期。眺めていて寂しかったなら、誰かに気持ちを打ち明けたいと思っている。慌てて窓を閉めた夢は、今は心をかき乱されたくない、という気持ちの表れ。
神社で雨に降られる夢
参道や境内で雨に降られる夢は、清めの夢。現実の参拝の雨と同じく、心の曇りを洗われてから神前に進む姿として読む。雨の中でもお参りを済ませた夢なら、願いを受け取ってもらえる準備が整っている。→ 神社
夜の雨の夢
暗い中で雨音だけが聞こえる夢は、一人で静かに泣きたい気持ち、あるいは、人に見せずに抱えている寂しさの表れ。その雨音が心地よかったなら、眠っている間に気持ちの整理が進んでいる。
洗濯物が雨に濡れる夢
干した洗濯物が濡れてしまう夢は、整えてきたことが思うように運ばないもどかしさの表れ。急いで取り込めたなら、まだ間に合う。
雨がやむ夢・虹が出る夢
悩みが晴れていく夢。雨上がりの空に虹がかかっていたなら、苦しい時期を越えた先に、願いが形になる流れが待っている。→ 虹
雷雨の夢
雷を伴う雨は、突然の変化や、目が覚めるような気づきの知らせ。→ 雷
現実で雨に降られたとき
- 参拝の日の雨:清めの雨、歓迎の雨と受け取られている。伊勢神宮でも、雨の日の参拝をかえって喜ぶ人は多い。→ 神社
- お墓参りの日の雨:→ 墓
- 葬式の日の雨:涙雨。→ 葬式
- 結婚式の日の雨:「雨降って地固まる」。雨のあとの地面が固く締まるように、二人の仲も固まるとされる。→ 結婚
- 引越しの日の雨:雨がそれまでの穢れを洗い流し、まっさらな気持ちで新しい家に入れる日とされる。これも「雨降って地固まる」で、その土地に根を下ろす日として喜ばれる。→ 家
- 旅行や大事な日にいつも雨が降る:スピリチュアルでは、雨女・雨男は雨を司る龍神に好かれている、と読まれる。→ 龍
- 晴れているのに雨が降った:天気雨。下の「狐の嫁入り」
日本の縁起
日本で雨が縁起のいいものとされてきたのは、稲を育てる水だから。日照りの年には雨乞いが行われ、雨を呼ぶのは龍神の役目だった(→ 龍)。
- 狐の嫁入り:晴れているのに降る天気雨のこと。狐が嫁入りの行列を人に見られないように雨を降らせる、あるいは、狐に化かされたような空模様だから、と言われてきた。狐雨とも呼ぶ。→ 狐
- 洒涙雨(さいるいう):七夕の日に降る雨。天の川を渡れなかった織姫と彦星の涙とも、会えたあとの別れを惜しむ涙とも言われる。前日の7月6日の雨は洗車雨(せんしゃう)といい、彦星が牛車を洗う水とされる
- 虎が雨:旧暦5月28日に降る雨。建久4年(1193年)のこの日、曽我兄弟が父の仇を討ち、兄の十郎は討たれた。十郎を慕っていた大磯の虎御前の涙が、毎年この日に雨になると伝えられる
- 涙雨:→ 葬式
- 天気の言い伝え:「猫が顔を洗うと雨」(→ 猫)、「カエルが鳴くと雨」(→ カエル)。生き物が雨の先触れをすると見られてきた
タロットの雨
タロットで雨がはっきり描かれている札は多くない。以下はウェイト版の絵柄。
- ソードの3:三本の剣に貫かれた赤い心臓。背後には灰色の雲がたれこめ、雨が降っている。悲しみの札で、描かれているのは嵐のさなか。雨の夢と重なるのは、こらえていた涙を流しきる札としての面
- 月:夜空の月から、雫の形をした光が地上に降りている。ウェイトはこれを、実りをもたらす露と書いた。目に見えないところで、次の実りが用意されている
- 星:裸の女性が、片方の水瓶で池に、もう片方で大地に水を注いでいる。天からの雨のかわりに、人の手で渇いた土を潤す姿。癒しと希望の札
雨の夢を見た日に ソードの3 が出たなら、泣いていい時期に来ている。星 が出たなら、洗われたあとの心に、もう水が注がれはじめている。
世界の象徴としての雨
- ノアの洪水:旧約聖書の創世記で、40日40夜降り続いた雨が地を覆う。水が引いたあと、神は二度と洪水で地を滅ぼさないしるしとして、雲に虹を置いた。雨は終わりであり、始め直しでもある。→ 虹
- ダナエと黄金の雨:ギリシャ神話。娘の子に殺されるという予言を恐れたアルゴスの王は、娘ダナエを青銅の部屋に閉じ込めた。ゼウスは黄金の雨となってその部屋に降り、ダナエは英雄ペルセウスを身ごもる。雨が黄金の形をとって、閉じ込められた人のもとへ恵みを運んだ話。→ 金色
- 濡れた花嫁:イタリアには「Sposa bagnata, sposa fortunata(濡れた花嫁は幸せな花嫁)」ということわざがある。雨は作物を実らせるので、雨の婚礼は豊かな暮らしの前触れとされる

関連する項目
虹・雷・水・龍・狐・猫・カエル・神社・墓・葬式・結婚・家・溺れる・金色
今日の一枚
大アルカナから一枚。
