蜂

蜂は、せっせと働いて、蜜をためる生き物として読まれてきた。花から花へ飛んで少しずつ集めた蜜が、やがて金色に光るほどたまる。日本では、家に蜂が巣を作ると商売繁盛、家族円満と言われ、中国では「蜂」が「封(領地を授かる)」と同じ音をもつ出世の印だった。夢の蜂も、積み上げてきたことが実りに変わる知らせ。そこに、針で刺す蜂の鋭さが、痛みと目覚めの読みとして重なる。
蜂の夢
夢占いでは、蜂の夢は吉夢とされることが多い。表しているのは、勤勉、繁栄、仲間との協力、そして金運。蜂は一匹では小さいが、群れで巣を築き、蜜を蓄える。
読み分けの鍵は、蜂が刺したか、蜜を運んでいたか。花のまわりを飛んでいた、巣に蜜がたまっていたなら、豊かさが育っている。刺された夢は、驚くほど吉夢として読まれることが多い(下の節)。群れで追ってきて怖かったなら、周りの忙しさに気持ちが追いついていない。
蜂に刺される夢
蜂の夢のなかで、いちばん検索される夢。夢占いでは、刺される夢は幸運が体に飛び込んでくる吉夢とされ、思いがけない収入や、いい知らせの前触れと読まれる。宝くじと一緒に検索される夢でもある。痛みが強かったほど、届く知らせは大きい。→ 宝くじ
刺された場所でも読み分ける。
- 手・指・腕:仕事や手仕事に実りがある。自分の手でつかむ運
- 足:動き出す時期。出かけた先、新しい場所で運が開く
- 頭:ひらめき、考えが冴える。迷っていたことに答えが出る
- 首・背中:人から押し出される、背中を押される。任される役目が回ってくる
蜂に追いかけられる夢
追いかけてくるのは、手をつけずにいる用事や、周りからの期待。スズメバチやクマンバチのような大きな蜂なら、その用事は大きく重く感じられている。逃げ切れた、隠れてやり過ごせたなら、片づける段取りはもうついている。→ 追いかけられる
たくさんの蜂・一匹の蜂の夢
たくさんの蜂が花のまわりを飛んでいたなら、人の協力が集まって、物事がにぎやかに進む。一匹の蜂がそばを飛んでいた夢は、ひとつの知らせや、一人の人との縁。その蜂を目で追っていたなら、その縁は自分にとって大事なもの。
蜂の巣の夢
財産や、家族の結びつきの夢。大きな巣なら、蓄えや家の運が育っている。蜜のしたたる巣なら、金運の夢。空の巣や壊れた巣は、ひとつの仕事や役目が区切りを迎えた夢で、次の巣を作る時期に来ている。→ お金
スズメバチの夢
大きく強い蜂は、強い力をもつ人や、勢いのある状況を表す。刺されなかった、近くを飛んでも平気だったなら、その強い力を味方につけられる。スズメバチを退治した夢は、手ごわい問題を越える力がある知らせ。
ミツバチ・はちみつの夢
ミツバチは、蜂の夢のなかでもとくに穏やかな吉夢。こつこつ続けてきたことが、甘い実りになる。はちみつを食べる夢は、努力のご褒美を受け取る夢で、恋愛なら関係が甘く深まる。人からはちみつをもらう夢は、目上の人から引き立てを受ける。はちみつが大量にあったなら、豊かな時期に入っている。→ 金色
女王蜂の夢
女王蜂は、群れの中心にいて、たくさんの命を生み出す蜂。女王蜂を見る夢は、自分がまとめ役になる、人の中心に立つ時期の知らせ。女王蜂が自分だったなら、自分の力を認めてもらえる。
蜂を殺す・駆除する夢
殺虫剤で蜂を退治する夢は、じゃまになっていたものを片づける夢。うまく駆除できたなら、悩みの種がなくなる。逃げた蜂がいたなら、まだ残っている用事がある。
蜂を捕まえる夢
願っていたものを手に入れる夢。刺されずに捕まえられたなら、危なげなく成果を得られる。
家の中に蜂がいる夢
家に福が入ってくる夢。家に蜂が巣をかけると栄える、という縁起そのままの夢(下の「日本の縁起」)。家の中を飛び回って落ち着かなかったなら、家族の予定が立て込んでいる。→ 家
現実で蜂に出会ったとき
- 家に蜂が巣を作った:繁栄のしるしとして喜ばれる縁起(下の「日本の縁起」)。ただ、巣には近づかず、スズメバチなど危ない蜂なら専門の業者に取り除いてもらう。お墓の蜂の巣は → 墓
- とっくり型の巣を見つけた:トックリバチは、泥で徳利のような形の小さな巣を作る。蜂の巣の縁起は、この小さな巣にも重ねて読まれる。子を育てるための部屋で、家族を大事にするしるし
- ミツバチの分蜂に出会った:春から初夏、古い女王蜂が働き蜂を連れて巣を分かれ、枝などに固まって新しい住まいを探す。新しい家を構える、独り立ちする、という門出のしるし。しばらくすると飛び立つので、そっと見守る
- 家や車に蜂が入ってきた・止まった:知らせや来客の前触れとして読まれる。慌てず、窓を開けて出ていくのを待つ。→ 車
- 神社で蜂を見かけた:蜂は花を実りに変える生き物。参拝の途中で出会ったなら、願いが実りへ向かうしるしとして受け取っていい。→ 神社
日本の縁起
- 蜂の巣は縁起物:働き蜂がひっきりなしに出入りする巣は「人や仕事がたくさん寄ってくる」商売繁盛、金色に光る蜜をためることから金運、たくさんの子を産む女王蜂を働き蜂が守ることから家族円満・子孫繁栄の縁起とされる
- 巣の高さで天気を占う:蜂が巣を作る高さで、その年の雨や台風を占う言い伝えが各地にある。高いと雨が多い、低いと風が強い、低い年は大雨になる、と土地によって言い方は分かれる
- 猿蟹合戦:柿の種をめぐって親蟹を死なせた猿に、子蟹が仇を討つ昔話。助太刀に来た仲間の一人が蜂で、栗や臼たちと一緒に猿の家で待ち伏せし、猿を刺す。小さな体で、ここぞというときに針を使う役
- 蜂神社(岩手県紫波町):前九年の役で源頼義・義家父子が陣を敷いた陣ヶ岡に建つ神社。義家が、藪の中の蜂の大群に悩まされたあと、逆に蜂の巣を袋に詰めて敵陣に投げ込み、勝ちを得た、という伝説が残る
タロットの蜂
ウェイト版に蜂が描かれた札は無い。蜂の勤勉と豊かさに重なる札を並べて読む。
- 女帝:実った麦の畑の中、クッションに座る女性。足もとにハートの形の盾、背後に森と流れ落ちる水。豊かさ、実り、育む力の札。はちみつや蜂の巣の夢の日にこの札が出たなら、育ててきたものが実る時期
- ペンタクルの8:職人が作業台に向かい、金貨の模様を一枚ずつ彫っている。仕上がった金貨は柱に掛けて並べてある。こつこつ続ける仕事の札で、働き蜂と同じ姿
- ペンタクルのクイーン:花と実に囲まれた庭の玉座で、膝の上の金貨を見つめる女王。足もとには兎。暮らしを豊かに治める札で、女王蜂の夢と重なる
世界の象徴としての蜂
- ラーの涙:古代エジプトの文書(大英博物館のソルト・パピルス825)には、太陽神ラーが泣き、その涙が地に落ちて蜂になり、蜂が花の間で働いて蜜と蠟ができた、と書かれている。蜜は神の涙から生まれたものとして、神殿に供えられた
- ナポレオンの蜂:1653年、ベルギーのトゥルネーで、フランク王国の王キルデリク1世の墓から金細工の蜂が見つかった。皇帝になったナポレオンはこれを古い王権の印として自分の紋章に選び、1804年の戴冠式のマントには金の蜂が刺繍された
- 馬上封侯:中国の吉祥図案。「猴(猿)」が「侯(諸侯)」と、「蜂」が「封(領地を授かる)」と同じ音をもつことから、馬に乗った猿と蜂を描いて「すぐに出世する」願いを込める。→ 猿、馬
- 蜂に知らせる:イギリスなどには、家で結婚や誕生、死があると、飼っている蜂の巣箱に伝えに行く風習があった。蜂を家族の一員として扱い、知らせないと蜂が去ってしまうと言われた
- アナンシとスズメバチ:西アフリカの民話で、蜘蛛のアナンシが天空神から物語を買うとき、差し出した獲物の一つがスズメバチの群れだった。雨が降っていると言ってひょうたんの中へ誘い込んだという。→ 蜘蛛
ラーの涙から生まれた蜂は花の間で蜜を作り、ナポレオンのマントでは金の刺繍になった。猿蟹合戦の蜂は、小さな体で一度だけ針を使った。夢で蜂に刺されてびっくりした朝は、その痛みを、届いた知らせの大きさとして覚えておくといい。

関連する項目
家・墓・蜘蛛・猿・馬・神社・車・お金・金色・宝くじ・追いかけられる
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