追いかけられる

追いかけられる夢は、向き合わずにいることが、すぐ後ろまで来ている夢とされる。追ってくるのは、後回しにしている用事、言えずにいる気持ち、認めたくない自分の一面。怖さの強い夢だが、夢占いでは凶夢ではなく、心が「そろそろこちらを見て」と呼びかけている夢として読む。読み分けの鍵は、何に追われていたかと、最後にどうなったか。逃げ切れたか、捕まったか、振り返ったか。
追いかけられる夢の意味
夢占いでは、追われる夢はプレッシャーと、避けているものを表す。締め切り、人間関係、決めかねていること。忙しさで自分の気持ちを置き去りにしているときに見やすい。
追ってくるものは、外の敵というより、自分の中から出てきたものの姿をとる。だから怖い姿で出てきても、正体は見慣れたものであることが多い。
読み分けの鍵は三つ。
- 何に追われていたか:人か、動物か、この世のものではないものか(下の「何に追いかけられたか」)
- 結末:逃げ切れたか、捕まったか、途中で目が覚めたか
- 逃げている間の自分:必死だったか、どこか落ち着いていたか。落ち着いていたなら、状況を見渡す力がもう戻ってきている
状況ごとの読み
逃げ切る夢
追っ手を振り切れた夢は、抱えていた問題を切り抜ける力がある知らせ。新しい環境へ移る、重荷が一つ下りる。逃げ切ってほっとした感覚が残っていたなら、その安堵は、この先の自分が先に味わわせてくれたもの。
同じ相手から何度も逃げ切る夢なら、切り抜けてはいても、まだ終わらせてはいない。
捕まる夢
捕まる瞬間に目が覚めて、胸がどきどきしていた夢。けれど夢占いでは、捕まる夢は向き合う時期が来たという知らせで、悪い夢ではない。捕まったあと何も起きなかった、相手が思ったより小さかったなら、怖れていたほど重いものではなかった。捕まって殺される夢は、古い自分が終わって生まれ直す夢として読まれる。→ 殺される
殺されそうになる・刃物を持って追いかけられる夢
刃物や銃を向けられる夢は、鋭い言葉や、切り離されることへの怖れの表れ。誰かの一言が刺さったまま残っているとき、関係が切れそうなときに見やすい。切りつけられる前に目が覚めたなら、その怖れは夢の中で使い切られている。
隠れる夢
物陰や押し入れに隠れて、息を潜めている夢。今は力を溜める時期だと、心が選んでいる。見つからずに済んだなら、無理に動かず様子を見ていい。見つかる夢なら、そろそろ出ていく頃合い。
走れない・足が動かない・声が出ない夢
逃げたいのに足が重い、叫ぼうとしても声が出ない。追いかけられる夢のなかでも、とくに多い形。疲れが体にまで来ている知らせで、心より先に体が休みを求めている。言いたいことを飲み込んでいるときにも、声の出ない夢を見る。
途中で目が覚める夢
決着がつく前に目が覚めた夢は、答えがまだ出ていない夢。目が覚めたこと自体が、夢の中で自分を守った動き。同じ場面の続きを見ることもあり、そのときの結末が、その件の行き先を映す。
反撃する・戦う夢
振り返って立ち向かった夢は、追いかけられる夢のなかでいちばん力のある夢。逃げていたものに、自分から手をかける時期が来ている。勝てたなら、その問題はもう越えられる。戦わなくても、振り返って相手の顔を見ただけで、夢の空気が変わることが多い。
助けてもらう・誰かと一緒に逃げる夢
手を引かれた、かくまってもらった夢は、助けてくれる人がもうそばにいる知らせ。一緒に逃げていた人が誰だったかを思い出す。その人が、今の自分の味方。子どもを守りながら逃げる夢は、自分の中の柔らかいところを守ろうとしている夢。
車で逃げる夢
乗り物で逃げる夢は、進む向きを自分の手で決めたい気持ち。自分で運転していたなら、状況を動かす力がある。→ 車
何度も見る・毎日見る夢
同じ追いかけられる夢が続くのは、同じ一つのことを、ずっと後ろに置いているから。追ってくるものの姿、場所、自分の逃げ方を書き留めておくと、正体が見えてくる。立ち止まる、振り返る、話しかける。夢の中の自分の動きが一つ変わると、夢そのものが変わっていく。
何に追いかけられたか
- 知らない人:自分でも気づいていない一面や、まだ形のない不安。→ 知らない人
- 知り合い・家族:その人との間に、話し合わずに残っていることがある。父親なら責任や決断、元彼ならまだ手放していない気持ち。→ 父親、母親、元彼、旦那
- 殺人鬼・犯人:強いストレスの姿。殺人鬼から逃げ切る夢は、その重圧から抜け出す知らせ
- ゾンビ:終わったはずの問題、片づけたつもりの過去が、形を変えて戻ってきている。倒しても起き上がるなら、根っこがまだ残っている
- 熊:自分より大きな力。とくに、包み込んで放さない母親のような存在から、離れて立ちたい気持ち
- 蛇:後回しにしていること。→ 蛇
- 犬・虎・龍:本能や、抑えている怒り、自分より大きく見える課題。噛まれずに済んだなら、その力は味方にもなる。→ 犬、虎、龍
- 幽霊・おばけ・巨人:正体の分からない不安。巨人なら、自分には大きすぎると感じている相手や課題。→ 幽霊
- 警察:後ろめたさ、自分で自分を責める気持ち
- 蜂・虫:小さいけれど数の多い煩わしさ。→ 蜂
日本の言い伝え
- イザナギの逃走:『古事記』で、黄泉の国から逃げ帰るイザナギは、黄泉の醜女(しこめ)に追いかけられた。髪飾りを投げると山ぶどうが、櫛の歯を折って投げると筍が生え、追っ手がそれを食べている間に走った。さらに雷神と黄泉の軍勢に追われ、黄泉比良坂のふもとで桃の実を三つ投げると、追っ手はみな引き返した。イザナギは桃に、この世の人が苦しむときにも助けてやってくれと言い、意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)の名を与えた。桃が魔除けとされる由来のひとつ
- 三枚のお札:山姥に追いかけられた小僧が、和尚にもらったお札を投げるたびに大きな川や火の海が現れ、寺まで逃げ切る昔話。最後は和尚が山姥を豆粒ほどに小さくさせ、餅に挟んで食べてしまう
- 悪い夢は南天に話す:悪い夢を見た朝は、早いうちに南天の木にその夢を話すと消える、と言われてきた(岐阜県などの記録)。南天は「難を転ずる」に通じる木。→ 家
タロットでは
- 月:二つの塔の間を細い道が遠くへ延び、その手前で犬と狼が月に吠え、池からザリガニが這い上がってくる。ウェイトは、犬と狼を、未知の出口を前にした心の怖れと書き、月の顔はその下の騒ぎを静かに見下ろしている、とした。追いかけられる夢を見た日にこの札が出たなら、怖さはまだ光の当たっていない道の先にあり、道そのものは続いている
- ソードの8:目隠しをされ、縛られた女性のまわりに、八本の剣が立っている。ウェイトはこの札を、取り返しのつかない束縛ではなく、一時の足止めの札と書いた。剣は女性を囲みきっていない。走れない夢、声が出ない夢と同じ場面を描きながら、そこから歩き出せることを告げている

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大アルカナから一枚。
