人を殺す

人を殺す夢は、夢占いでは自分を縛っていた古い関係や習慣、古い自分を、自分の手で終わらせる夢とされる。目が覚めたときの後味はひどく悪い。けれど夢の中で終わったのは誰かの命ではなく、もう役目を終えかけていたもので、読みの芯は生まれ直しにある。読み分けの鍵は、誰を殺したか、そのあとどうしたか(隠した、逃げた、捕まった)、そして目覚めたときに残っていたのが罪悪感か、妙なすっきりした感じか。
人を殺す夢の意味
夢の中の死は、終わりと始まりをいっぺんに表す。自分の手で誰かを終わらせる夢は、自分の意思で何かに区切りをつけようとしている夢。付き合い方を変えたい相手、やめたい習慣、もう合わなくなった考え方。頭では決めきれずにいることを、夢が先に形にしている。
強いストレスの中でも見やすい。押さえつけられている、振り回されている、と感じている相手や状況があると、夢の中の自分は、それを終わらせる側に回る。
読み分けの鍵は三つ。
- 誰を殺したか:知らない人か、身近な人か(下の節)
- そのあとどうしたか:隠した、逃げた、捕まった、何もしなかった
- 目覚めたときの気持ち:すっきりしていたなら、区切りはもうついている。罪悪感が強かったなら、終わらせるものを、それだけ大事にしてきた
状況ごとの読み
知らない人を殺す夢
人を殺す夢のなかで、いちばん吉夢に近い形。知らない人は、自分の中の、まだ名前のついていない一面。自信のなさ、ずっと付きまとっていた不安、前の自分のくせ。それが夢の中で終わるのは、抱えていた問題が片づき、一段育つ知らせ。→ 知らない人
家族・親を殺す夢
親を殺す夢は、親のものさしから離れて、自分の足で立つ夢。父親なら自分で決める力、母親なら守られてきた場所からの巣立ち。現実の親に向けた気持ちの表れではない。→ 父親、母親
子どもを殺す夢は、自分の中の幼い部分、未熟だと感じてきたところを越えていく夢とされる。
友達・恋人を殺す夢
その人との関係の形を変えたい気持ちの夢。近すぎる、合わせすぎている、と感じていると見やすい。相手との縁を切る夢ではなく、関係の中の自分の立ち位置を入れ替える夢。元彼なら、残っていた気持ちが終わる。→ 元彼、旦那
刀・刃物で殺す夢
刀は、断ち切るもの。刀が出てきた夢は、迷いや、長く引きずってきたつながりを、すっぱり切る決心がついてきている知らせ。刀を振るう自分が落ち着いていたなら、その決心は自分のものになっている。包丁のような身近な刃物なら、切りたいものは暮らしのすぐそば、毎日の人間関係の中にある。
銃で殺す夢
離れたところから届く銃は、近づかずに片をつけたい気持ち。正面から向き合うのが重い相手や問題があるときに見やすい。狙いがはっきりしていたなら、何を終わらせたいのか、自分ではもう分かっている。
正当防衛・身を守るために殺す夢
襲われて身を守るうちに相手を殺してしまった夢は、自分の領分を守る力が育っている夢。踏み込まれてきたこと、我慢してきたことに、心がはっきり「ここまで」と線を引いた。罪悪感より安堵が残ったなら、その線は正しい場所に引けている。
人を殺して隠す・埋める夢
隠す夢は、まだ人に言えない変化の夢。自分の中では終わらせたけれど、まわりにはまだ見せていない決心や、胸にしまっている秘密がある。夢占いでは、埋める夢は変化とチャンスの前触れとも読まれる。土に埋めたものは、形を変えて次の芽になる。
人を殺して捕まる夢
捕まる夢は、終わらせたことの重みを、自分で引き受けようとしている夢。後回しにしてきた問題と、正面から向き合う時期が来ている。捕まってほっとした感覚があったなら、隠し続ける苦しさのほうが大きかった。自分を裁く気持ちが強すぎないかも、この夢は見せている。
人を殺して逃げる夢
逃げる夢は、区切りはつけたけれど、そのあとの責任や変化をまだ受け取れずにいる夢。逃げ切ったか、追われ続けたか。追われる夢としての読みは → 追いかけられる
人を殺すところを見る夢
誰かが人を殺す場面に居合わせた夢は、自分のまわりで何かが終わっていくのを見ている夢。自分で手を下していない分、変化は外からやって来る。
何人も殺す夢
夢占いでは、何人もを次々に終わらせる夢は、たまっていた問題がまとめて片づく大きな吉夢と読まれることがある。
よく見る・リアルな夢
同じような夢が続くのは、終わらせたいのに、まだ終わらせきれていないものがあるから。相手、場所、手に持っていたものの中で、毎回変わらないものを書き留めておく。感触まで残るほどリアルな夢は、その区切りが今の自分にとってそれだけ大きいという知らせ。
目が覚めて罪悪感が残ったとき
人を殺す夢のあと、しばらく自分が怖くなる人は多い。けれど夢の中の自分は、現実の自分の望みをそのまま映しているわけではない。夢は、終わらせたいものを、いちばん強い形で見せる。罪悪感が残ったのは、自分の中に人を傷つけたくない気持ちがしっかりある証。
悪い夢の後味を変える言い伝え(夢違え、獏)は 父親、悪い夢を南天に話す言い伝えは 追いかけられる にまとめている。
殺される夢との違い
どちらも古い自分が終わる夢だが、向きが違う。殺される夢は、終わりが向こうからやって来る夢で、変化を受け取る側。人を殺す夢は、自分の手で終わらせにいく夢で、変化を起こす側。夢の中で両方を見たなら、切り替わりが内と外の両方から進んでいる。→ 殺される
日本の言い伝え
- 八俣の大蛇と、欠けた剣:『古事記』で、須佐之男命は出雲で八俣の大蛇を斬った。最後に尾を斬ったとき、手にしていた十拳剣(とつかのつるぎ)の刃が欠けた。尾を裂いて見ると、中から立派な剣が出てきた。須佐之男命はその剣を天照大御神に献上し、のちに草薙剣と呼ばれる。古い刃が欠けたところから、新しい剣が出てきた話
- 縁を断ち切る:悪い縁を切って良い縁を結ぶ縁切りの祈願は、京都の安井金比羅宮の碑くぐりがよく知られる。碑の穴を表から裏へくぐって悪縁を切り、裏から表へくぐって良縁を結ぶ。くわしくは 麻薬 の項目に書いている
タロットでは
- 死神:終わりと始まりの札。殺される夢と重なる札なので、読みは 殺される の「タロットでは」に書いている
- 正義:二本の柱の間に座る人物が、片手に剣、片手に天秤を持つ。捕まる夢、罪悪感の残る夢を見た日にこの札が出たなら、終わらせたことと手に入れたものが、天秤の上でもう釣り合おうとしている
- ソードのエース:雲から出た手が一本の剣を握り、剣先を冠が囲んでいる。ウェイトは、勝利、征服、力の勝利を表す、愛においても憎しみにおいても大きな力の札、と書き、冠には占いの枠を超えた高い意味があるかもしれない、とした。刀の夢を見た日にこの札が出たなら、振るった刃の先には、もう冠が待っている。十拳剣が欠けたところから新しい剣が出てきたように、夢の中で古いものを断った手は、次に握るものを受け取る手になる

関連する項目
殺される・追いかけられる・知らない人・父親・母親・元彼・旦那・血・葬式・蛇・麻薬
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大アルカナから一枚。
