殺される

殺される夢は、古い自分がひとつ終わり、新しい自分に生まれ直す夢とされる。目が覚めたときの怖さは、夢のなかでもいちばん強い部類。けれど夢占いでは凶夢ではなく、再生と転機の吉夢として読まれることが多い。終わるのは命ではなく、脱ぎかけている考え方、続けてきた役割、区切りの近い関係。読み分けの鍵は、誰に殺されたか、最後まで殺されたか途中で目が覚めたか、そして目覚めたときに残っていたのが怖さか、妙な静けさか。
殺される夢の意味
夢占いでは、夢の中の死は、終わりと始まりを一度に表す。殺される夢は、自分では手放しきれずにいたものを、夢が代わりに終わらせてくれる夢。抱えていた問題に片がつく前、環境が変わる前、長く続いたことに区切りがつく前に見やすい。
読み分けの鍵は三つ。
- 誰に殺されたか:知らない人か、知っている人か(下の「誰に殺されたか・誰が殺されたか」)
- 結末:最後まで殺されたか、殺されそうになって逃げたか、その前に目が覚めたか
- 目覚めたときの気持ち:怖さが残ったか、すっきりしていたか。すっきりしていたなら、切り替わりはもう半分済んでいる
状況ごとの読み
最後まで殺される・死んでしまう夢
夢の中で本当に死んでしまった夢は、殺される夢のなかでいちばん意味のはっきりした吉夢。区切りが最後までついたという知らせで、生まれ変わりの読みがもっとも強い。死んだあとも夢が続いて、自分の姿を上から眺めていた、別の場所で目を開けたなら、新しい自分の目で物事を見る時期がもう始まっている。
殺されたあと生き返る夢
一度殺されて、また起き上がる、気づいたら元どおりに暮らしている夢。生まれ変わりの読みが、夢の中でそのまま形になった夢で、終わったあとの新しい自分を、先に少しだけ見せてもらっている。生き返った自分が前と違う服を着ていた、違う場所にいたなら、そこに、これから変わっていく向きが出ている。
殺される場面で目が覚めた夢
刃物や手が届く直前に目が覚めた夢は、切り替わりの手前まで来ている夢。区切りはまだついていないが、心はもうそちらを向いている。目が覚めたのは、夢の中で自分を守った動き。起きてから胸がどきどきしていたら、窓を開けて外の空気を吸い、夢の場面を一度ことばで書き出してから一日を始める。
殺されそうになる・逃げる夢
殺されそうになって逃げ回る夢は、変わる時期が来ているのに、今の自分をまだ手放したくない気持ちの夢。逃げ切れたなら、もう少し今のやり方で踏ん張れる。「殺されそうになる夢ばかり見る」なら、切り替わりの入口で足踏みしている。追われる夢としての読みは → 追いかけられる
刺される・ナイフや包丁で殺される夢
刃物は、切り離すもの。刺される夢は、こじれていた関係や古い習慣が、すっぱり切れる知らせで、ため込んでいた不満が一気に抜けていく時期とも読まれる。刺されても血が出なかった、痛くなかったなら、その区切りは思ったより軽く済む。血が印象に残ったなら → 血
銃で撃たれる夢
離れたところから一瞬で届く銃は、思いがけない知らせ、急に動く出来事の姿。撃たれても痛くない、血が出ない、死なない、弾が当たらない夢は、突然の変化が来ても自分は損なわれない知らせ。撃たれて痛みがあったなら、誰かのひと言が、まだ胸に残っている。
首を絞められる夢
息の詰まる夢は、言いたいことを飲み込み続けている夢。喉は声の通り道。絞めてくる相手が誰だったかに、言葉を止めている相手が映る。目覚めたら深く息をついて、飲み込んでいたひと言を心の中で言葉にしてみる。夢の苦しさは、そこで一度ほどける。
痛みを感じた夢
痛みがはっきりあった夢は、変わるのに少し手間のかかる知らせ。痛みのない夢より、自分の手で終わらせる部分が多い。目覚めと一緒に痛みが消えていたなら、いちばんつらいところは夢の中で越えている。
昔の時代や戦の中で殺される夢
見たことのない時代の町並み、戦の場で殺される夢。ずっと昔から持ち続けてきた思い込みが、自分の奥の古い層で終わる夢。その時代の自分が何を守ろうとしていたかを思い出すと、今手放そうとしているものが分かる。
何回も殺される夢を見る
同じように殺される夢が続くのは、同じ一つの切り替わりを、心がまだ終えていないから。場所、相手、殺され方のなかで、毎回変わらないものを書き留めておくと、終わらせたがっているものの正体が見えてくる。夢の中で一度振り返る、相手の顔を見る。夢の中の自分が一つ動きを変えると、続く夢も変わっていく。
誰に殺されたか・誰が殺されたか
- 知らない人に:まだ形の見えない変化が、自分の意思とは別のところから始まっている。→ 知らない人
- 親・家族に:親の考え方から一歩離れて、自分の足で立つ時期。父親なら決め方、母親なら守られてきた場所からの巣立ち。→ 父親、母親
- 友達に:その友達との関係が、新しい形に移りかけている
- 恋人・元彼・旦那に:関係の中の自分の役割が変わる。元彼なら、残っていた気持ちが終わる。→ 元彼、旦那
- 家族や友達が殺される夢:その人との関係のなかで、何かが一段変わる夢。夢の中の出来事で、その人の身の上を告げるものではない。家族全員なら、家の中の空気がまるごと入れ替わる時期。→ 家
- 自分の子どもが殺される夢:その子を大事に思う気持ちと、守りきれるかという不安が形になった夢。子どもが育って、関わり方が一段変わる頃にも見る。→ 赤ちゃん
- 知らない人が殺される夢:自分の中の、まだ名前のついていない一面が終わっていく
日本の言い伝え
- 山で一度死んで、生まれ直す:修験の行者は、山や霊地をあの世、あるいは母の胎内と見て、その中を巡って修行した。いったん死んで生まれ変わる、擬死再生の行。狭い岩の割れ目や洞穴をくぐり抜ける胎内くぐりは、その死と誕生を体でなぞるもので、大峰山上ヶ岳の行場や、大仏の胎内でも行われてきた
- 出羽三山の生まれかわりの旅:山形の出羽三山は、羽黒山が現在、月山が過去、湯殿山が未来に見立てられてきた。江戸時代の三山詣では、羽黒山から入って月山で死とよみがえりを経て、湯殿山で新しく生まれる。死ぬ山を越えた先に、生まれる山が置かれている
- 悪い夢を吉夢に変える言い伝え(夢違え、獏)は 父親、悪い夢を南天に話す言い伝えは 追いかけられる の項目にまとめている
タロットでは
- 死神:黒い甲冑の騎士が、白い馬でゆっくり進んでくる。ウェイトは、騎士の掲げる黒い旗には命を表す神秘の薔薇が描かれ、地平の二本の柱の間には不滅の太陽が輝いている、と書いた。騎士は、目に見える武器を何も持っていない。殺される夢を見た日にこの札が出たなら、終わりは奪うためではなく、柱の向こうの朝へ連れていくために来ている
- 吊るされた男:生きた木に逆さに吊られた男は、苦しむ顔をしていない。ウェイトはこの札の説明を、死という聖なる神秘のあとには、輝かしい復活の神秘がある、という言葉で結んだ。吊るされた男の次に並ぶのが、その死の神秘を描いた死神で、死神の地平には不滅の太陽が昇っている。宙づりの静けさ、死、柱の向こうの朝。出羽三山の月山を越えて湯殿山へ下りていく道と同じ順番を、夢の中で終わった自分もたどっていく

関連する項目
人を殺す・追いかけられる・知らない人・血・落ちる・葬式・亡くなった人・幽霊・父親・母親・元彼・旦那・赤ちゃん・家・山・蛇
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大アルカナから一枚。
