亀

亀は、守りの甲羅を背負って、長い時間をかけて確かに進む生き物として読まれてきた。「鶴は千年、亀は万年」と言われる長寿の印で、甲羅の模様はめでたい亀甲紋になり、甲羅のひび割れは神の意思を読む占いに使われた。そして亀は、神様を背に乗せて川を遡り、浦島を背に乗せて海の底の国へ運ぶ。夢の亀は、焦らなくても届く運と、自分を守ってくれるものの知らせとして出てくる。
亀の夢
夢占いでは、亀は長寿、健康、金運、そして着実な歩みの象徴。亀の夢の多くは吉夢として読まれる。急いで結果を出そうとしているときほど、亀は夢に出て、ゆっくりで届くと告げに来る。
読み分けの鍵は、亀が甲羅から顔を出していたか、引っ込めていたか。首を伸ばして歩いていた、泳いでいたなら、運が自分のペースで前へ進んでいる。甲羅に籠もってじっとしていたなら、今は守りを固めて待つ時期で、それも亀にとっては正しい過ごし方。
亀を助ける夢
亀の夢のなかでも、とくに喜ばれる夢。昔話の浦島太郎のように、助けた亀が福を連れて戻ってくる。人にかけた親切や、目立たない手間が、思いがけない形で返ってくる知らせ。夢占いでは金運の上がる夢ともされる。
ひっくり返った亀を起こしてやった夢なら、止まっていた物事がまた動き出す。道を渡る亀を運んでやったなら、誰かの足取りを支える役が回ってくる。
大きな亀・ウミガメの夢
亀が大きいほど、運も大きい。大きな亀は、長く続く安定と、まとまった実り。ウミガメが澄んだ海をゆったり泳いでいたなら、大きな流れに身を任せていい時期で、心の広さが運を呼ぶ。大きな亀やウミガメの夢のあとに宝くじを買う人も多い。→ 海、宝くじ
亀に乗る夢
背に乗せて運んでくれる亀は、頼もしい後ろ盾の夢。浦島を竜宮へ運んだ亀のように、ひとりでは行けない場所へ連れていってくれる人や縁が現れる。
亀が家に入ってくる・亀を拾う夢
家に長寿と安定が入ってくる夢。家族の健康や、暮らしの土台が固まる知らせで、財運の夢としても読まれる。亀を拾って連れ帰った夢は、自分から福を迎えにいった夢。→ 家
亀を飼う夢
時間をかけて育てていくものを、手元に持つ夢。貯金や、長く続けたい習いごと、ゆっくり深まる縁。
白い亀・金色の亀の夢
白い亀は、奈良時代に元号を改めさせたほどのめでたい印(下の「日本の縁起」)。白い亀の夢は、清らかな願いが天に届く知らせ。金色の亀は、金運の夢として特に喜ばれる。→ 白、金色
たくさんの亀・子亀の夢
たくさんの亀は、長く続く豊かさと、家や仲間の繁栄。子亀がたくさん歩いていたなら、小さな始まりがいくつも育っていく。亀が二匹寄り添っていたなら、長く連れ添う縁の夢。亀の卵の夢は、まだ殻の中にある計画や、授かりものの知らせ。→ 卵、赤ちゃん
亀に噛まれる夢・スッポンの夢
亀に噛まれる夢は、気づかないうちに抱えている重さの知らせ。大きな亀ほど、その重さも大きい。ただ、噛まれたのに嫌な感じがしなかったなら、離さないほど自分を想ってくれる相手がいる。スッポンに食いつかれて離れなかった夢も、しつこさとも、一途さとも読める。夢の中の気持ちで読み分ける。
亀の甲羅の夢・甲羅が割れる夢
甲羅は、自分を守るもの。立派な甲羅の亀なら、守りが整っている。甲羅が割れていた夢は、今の守り方がもう窮屈になっていて、作り直す時期の知らせ。昔、甲羅のひびで神の意思を読んだように(下の「日本の縁起」)、割れ目の走った先に、次に進む方向が示されている。
亀が逃げる・亀が死ぬ夢
亀が逃げていく夢は、急ぎすぎて、ゆっくり育つはずのものを手放しかけている知らせ。亀が死ぬ夢は、長く続いたひとつの時期が区切りを迎える夢で、次の長い時期が始まる前触れ。
現実で亀に出会ったとき
- 道で亀に出会った:長寿の生き物が、自分の道の上に現れた。これから先の道のりが長く続く印として受け取れる。車の来ない側へそっと渡してやる人も多い
- 庭に亀が来た:家に長寿と福が入ってくる縁起に当てはめて、家族の健康と安定の印として受け取れる
- 神社で亀に出会う:京都の松尾大社では、亀は神の使い。境内の撫で亀に触れて、健康と長寿を願う。→ 神社
日本の縁起
- 鶴は千年、亀は万年:鶴の寿命を千年とする中国の『淮南子』の記述から来たと言われる、長寿の祝いの言葉。日本では御伽草子の『浦島太郎』に見え、厄払いの口上や年越しの挨拶でも唱えられた
- 浦島太郎:いちばん古い形は『日本書紀』の雄略天皇22年の記事で、釣りに出た浦嶋子が大きな亀を釣り、その亀が女性に姿を変えて、二人で海の中の蓬萊山へ行く。『丹後国風土記』の逸文では、五色の亀になっている。室町時代の御伽草子では、浦島は「亀は万年というのに、ここで殺すのはかわいそうだ」と釣った亀を逃がしてやり、その亀が竜宮の姫として現れる。子どもたちから亀を買い取って助ける形は、明治に入ってからのもの。→ 海
- 松尾大社の亀:京都の松尾大社では、神様が大昔、山城と丹波を拓くために保津川を遡ったとき、急流は鯉の背に、緩やかな流れは亀の背に乗って進んだと伝わる。それ以来、亀と鯉は神の使い。本殿正面の門の両脇に、幸運の撫で亀と双鯉が置かれている。松尾大社の神は大山咋神で、日吉大社で猿を使いとする神と同じ。→ 鯉、猿、神様
- 亀の元号:奈良時代、めでたい亀が献じられたことを受けて、元号が霊亀(715年)に改められた。続く神亀(724年)と宝亀(770年)は、白い亀の献上による改元。→ 白
- 亀卜(きぼく):亀の甲羅を火であぶり、できたひび割れで神の意思を占う。2019年の大嘗祭の前には、アオウミガメの甲羅を使った亀卜で、新米を納める地方が選ばれた。国内では長崎の対馬に、この占いが伝わってきた
- 亀甲紋:甲羅の六角形をかたどった、長寿の文様。出雲大社の神紋は「二重亀甲に剣花菱」
- 玄武:北を守る黒い亀と蛇。→ 黒、蛇
タロットの亀
ウェイト版に亀が描かれた札は無い。長い巡り、待つ時間、自分の歩みに重なる札を挙げる。
- 世界:楕円の花輪の中で、二本の杖を持った人物が舞い、四隅から天使、鷲、牛、獅子が見守る。ひと巡りを終えて完成する札。万年を生きる亀の夢の日に出たなら、長くかけてきたことが一つの輪になって閉じる
- ペンタクルの7:若者が杖にもたれて、茂みに実った七枚のペンタクルをじっと眺めている。育つのを待つ時間の札。亀を飼う夢や、ゆっくり歩く亀の夢と同じことを言っていて、実りはもう見えている
- 隠者:六芒星の灯るランタンと杖を手に、雪の峰にひとり立つ老人。人の速さに合わせず、自分の足で確かめながら進む。甲羅に籠もる亀の夢のあとにこの札が出たなら、今はひとりで灯をかざしていていい
世界の象徴としての亀
- 世界を背負う亀:インドの神話では、ヴィシュヌ神が亀のクールマに姿を変え、神々と魔族が乳の海をかき回すとき、軸になる大山をその背で支えた。大地を背負う亀の像は、ほかの土地の神話にも見られる
- 洛書:中国の古い伝えで、洛水から現れた亀の甲羅に描かれていたという数の図。易や風水のもとになったとされる
- ウサギとカメ:イソップの寓話。速いウサギが昼寝をしている間に、休まず歩いた亀が先に着く
- 中国の亀の二つの顔:中国でも亀は長寿と吉祥の生き物で、玄武として北を守ってきた。一方で、亀を指す言葉が罵り言葉にも使われるため、贈り物などでは亀を避ける人もいる
御伽草子の浦島は、玉手箱を開けたあと鶴になって飛び、亀の姿の妻と、丹後で夫婦の明神として祀られた。鶴は千年、亀は万年。夢に来た亀がゆっくりこちらへ歩いてきたなら、その亀は、長い時間ごと自分の側に来てくれている。

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海・鯉・猿・蛇・黒・白・金色・神社・神様・家・卵・赤ちゃん・宝くじ
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