飛ぶ

空を飛ぶ夢は、心が縛りからほどけて、もっと遠くへ行けると感じている夢とされる。夢占いでは、自由と解放、願いが高く上がっていく吉夢として読まれることが多い。同時に、今いる場所から少し抜け出したいときにも見る。読み分けの鍵は、どのくらいの高さを飛んだか、思うように飛べたか、そして飛んでいる間の気持ち。気持ちよかったか、怖かったか、何かから逃れるために飛んでいたか。
空を飛ぶ夢の意味
夢占いでは、飛ぶ夢は向上心と、自由への願いを表す。もっと上へ行きたい、自分の力を試したい、しがらみから離れたい。どの気持ちが強いかで、夢の中の飛び方が変わる。
読み分けの鍵は三つ。
- 高さ:雲の上まで上がったか、屋根や電線すれすれだったか
- 飛び方:思いどおりに飛べたか、もがくように浮いていたか。腕で水をかくように泳いでいたか、翼があったか
- 飛んでいる間の気持ち:気持ちよかったなら運気が上向いている。怖かったなら、変化の大きさに気持ちがまだ追いついていない
状況ごとの読み
高く飛ぶ・気持ちよく飛ぶ夢
雲を抜けて高く上がっていく夢は、飛ぶ夢のなかでいちばんの吉夢。願いが叶う方へ、物事が上向いている知らせ。風を切る感じや、下に広がる景色の美しさを覚えているなら、その晴れやかさを自分に許していい時期。どこまでも上がっていくのが少し怖かったなら、勢いに乗りながらも、足場を一つ残しておく。風に押し上げられて浮かんだ夢は → 風
低空飛行の夢
地面すれすれ、人の頭の少し上をゆっくり飛ぶ夢。進みたい気持ちはあるが、まだ慎重になっている夢。高く上がることより、落ちないことを気にしている。低くても飛べてはいるのだから、力はもうある。飛行機やヘリコプターが低く飛んでいくのを見上げる夢なら、身近なところで何かが動き出す気配を感じている。
うまく飛べない・飛べない夢
飛ぼうとしても体が重い、少し浮いてはすぐ下りてしまう、電線や屋根に引っかかる。自信が、やりたいことに追いついていない夢。飛べないのは力が無いからではなく、心がまだ地面を気にしているから。浮き上がれた一瞬があったなら、その感覚が、次に飛ぶときの手がかり。
飛んでいて落ちる夢
気持ちよく飛んでいたのに急に落ちる夢は、うまく運んでいることを、心のどこかで疑っている夢。もう一度浮かび上がれたなら、その自信は取り戻せる。→ 落ちる
ジャンプして飛ぶ・ふわっと浮く夢
地面を蹴るたびに遠くまで跳べる、体がふわりと宙に浮く夢。身軽になりたい気持ちと、自分にもう少し力があると気づきはじめた夢。跳ぶたびに高くなったなら、小さな一歩を重ねることで、遠くまで届く。
空を泳ぐ夢
平泳ぎやクロールで、水の中のように空をかいて進む夢。少しずつ、自分の手で進んでいる夢。一気に上がるのではなく、ひとかきずつ前へ出る。進むのに力が要ったなら、今は踏ん張りどころ。
逃げるために飛ぶ夢
追いかけてくるものから、空へ飛んで逃げた夢は、困りごとを越える力が、もう自分の中にある知らせ。ただ、下で待っているものは、いつか降りて向き合う相手でもある。→ 追いかけられる
海の上や夜空を飛ぶ夢
海の上を飛ぶ夢は、気持ちの大きな波を、上から見渡せている夢。夜空を飛ぶ夢は、まだ人に言っていない願いが静かに育っている夢。月や星が近かったなら、その願いは手が届く距離にある。→ 海、月、星
翼が生えている・鳥になる夢
自分の背に翼があった、鳥になって飛んでいた夢は、自分の力で道を選べる知らせ。翼の色や大きさを覚えていたなら、それが今の自分の力の姿。鳥が飛んでいくのを見る夢は → 鳥
飛ぶ夢をよく見る・しばらく見ない
飛ぶ夢が続くのは、自由になりたい、上へ行きたいという気持ちが、いちばん強くなっているから。子どもの頃によく見た飛ぶ夢を、大人になってしばらく見ていないなら、心が今の暮らしの重さに合わせて、地面に足をつけている時期。気持ちが軽くなる出来事のあとに、ふっと戻ってくることが多い。
夢だと気づいて飛ぶ夢
夢の中で「これは夢だ」と気づいたまま見る夢を、明晰夢と呼ぶ。名づけたのは、オランダの作家で精神科医のフレデリック・ファン・エーデン。1898年から自分の夢を書き留め、1913年に「夢の研究」として発表した。
その記録の中で、彼は、飛んだり浮かんだりする感覚はどんな夢にも現れうるが、たいていは明晰夢がやってくるしるしだ、と書いている。1911年のクリスマスに見た夢は、飛ぶこと、浮かぶことから始まり、「驚くほど軽く、強く感じた」とある。飛ぶ夢をもう一度見たいと願う人にとって、彼の記録は、飛ぶことと、夢に気づくことが、すぐ隣り合っている場所を指している。
言い伝えと物語
- 役小角:修験道の祖とされる役小角は、『日本霊異記』で、五色の雲に乗って仙人の宮に遊ぶことを願い、孔雀王の呪法を修めた人として描かれる。『今昔物語集』では、朝廷の使いが捕らえようとしても空へ飛び上がって捕まらず、母が捕らえられると、自分から出てきて代わりに捕らわれた。流された島では、海の上を陸で遊ぶように浮いて走り、夜は富士山へ行って修行したという。『日本霊異記』の題は、この人が仙人となって天に飛んだ、と結んでいる
- 久米仙人:『今昔物語集』の久米仙人は、吉野の龍門寺で修行して空を飛べるようになった。ある日、吉野川の上を飛んでいて、衣を洗う女の白いふくらはぎを見て心が乱れ、その前に落ちてしまう。久米はその女を妻にして、ただの人として暮らした。のちに都を造るとき、材木を運ぶよう冷やかされた久米は、七日七夜祈り続け、大小の材木が南の山から空を飛んで都の地に届いた。うまく飛べなくなった夢のあとにも、飛ぶ力は別の形で戻ってくる
- 天女の羽衣:羽衣をまとって天へ帰っていく天女の話は、富士山 と 月 の項目にある
- イカロス:ギリシャ神話で、父ダイダロスは、羽根を蝋で留めた翼を作り、息子イカロスと空へ逃れた。飛び立つ前に父は、低すぎれば海の湿りで翼が重くなり、高すぎれば太陽に焼かれる、中ほどの道を行け、と言い聞かせた。下で見上げた釣り人や羊飼いや農夫は、二人を空を行く神々だと思った。けれどイカロスは飛ぶ喜びに夢中になって高く上り、蝋が溶けて海へ落ちた。その海は今もイカリアの海と呼ばれる。高く飛びたい夢と、低空で慎重に飛ぶ夢は、父の言った「中ほどの道」の両側にある
タロットでは
- 愚者:若者が崖の縁で、空の方を見ている。ウェイトは、地上とその縛りが彼をほとんど引き留められないかのような軽い足取りで、足もとの景色より、青く遠い空の広がりを見渡している、と書いた。飛ぶ夢を見た日にこの札が出たなら、あの浮き上がる感覚は、踏み出す前の心の軽さ
- 世界:楕円の葉の輪の中で、女性が両手に杖を持って踊っている。身にまとうのは、風が腰に巻きつけた一枚の軽い布だけ。ウェイトはこの札に、体のうちに得られた喜びを見た。宙に浮いて見えるその姿は、雲を抜けて高く飛べた夢の、ひと巡りしたあとの静かな到達。イカロスのように太陽まで上らなくても、風に布を預けたまま、輪の中で舞い続けられる

関連する項目
鳥・落ちる・追いかけられる・風・龍・馬・フクロウ・富士山・月・星・海・エレベーター・神様・山
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大アルカナから一枚。
