星

星は、手の届かない高さにあって、暗くなってはじめて見える光として読まれてきた。願い、希望、進む先を示す道しるべ。夢の星は、いま自分が遠くに掲げている願いの姿で、その明るさと、自分からの近さが、願いがどこまで来ているかを映す。日本では、年に一度だけ会える二つの星を七夕に祀り、動かない北極星を妙見として拝み、星の形を魔除けにしてきた。
星の夢
星の夢は、夢占いでは吉夢とされることが多い。表しているのは、理想、希望、願い、才能、そして暗い中でも自分を導いてくれるもの。
読み分けの鍵は、星の明るさと数。くっきり輝いていたか、かすんでいたか。一つだったか、空いっぱいだったか。もうひとつは星との距離で、見上げるだけだったか、手を伸ばして届いたか。星が近いほど、遠くに置いていた願いは、自分の手もとへ降りてきている。
満天の星・星空の夢
空いっぱいの星を見上げる夢は、願いが叶う吉夢。星の数が多いほど、訪れる幸せも大きいとされる。誰かと一緒に見ていたなら、その人とは同じ願いを見ている。綺麗な星空に見とれていたなら、心が澄んで、大事にしたいものがはっきり見えている時期。
ひとつだけ輝く星の夢
暗い空に一つだけ明るい星が光る夢は、目指すものが一つに定まった夢。迷っていたことに、答えの方角が見えてきている。夕方の空に最初に見つけた星なら、始まりの夢でもある(下の「一番星」)。
流れ星の夢
流れ星を見る夢は、願いが叶うしるし。夢の中で願いごとを唱えられたなら、その願いはもう動き出している。ただ流れ星は一瞬で消えるので、夢占いでは、巡ってきた機会をためらわずにつかむ時期とも読む。いくつも流れる流星群の夢は、良い知らせが続けてやって来る夢。願いごとを唱えそびれたなら、自分の願いを、まだはっきり言葉にしていない。
星をつかむ・星を手にする夢
手の届かないはずの星を手に取る夢は、大きな吉夢。高すぎると思っていた目標や、憧れていた相手に、手が届く。つかんだ星が温かかったなら、その願いは自分に合っている。
星が落ちてくる夢・星が降る夢
星が落ちてくる夢は、環境や人との関係に大きな変化が来る夢とされる。怖く見えるが、空の高くにあったものが、地上の自分のところへ降りてくる夢でもある。星が雨のように降ってきて美しかったなら、恵みがまとめて降りてくる。星が落ちてくる夢を、子を授かる知らせとした伝えもある。→ 妊娠
星が消える・雲に隠れる夢
見えていた星が消える、雲に隠れる夢は、願いが一時遠のいている夢。星は昼も夜も空にあって、見えなくなっているだけ。雲が流れて、また見えてきたなら、その願いは手放さなくていい。
星が動く・星が近づく夢
星が動いて近づいてくる夢は、止まっていたことが動き出す夢。自分の環境か、気持ちが変わりはじめている。星が大きく光を放って弾けた夢は、抑えていた力が一気に表に出ようとしている。
天の川・星座の夢
天の川は、夢占いでは良縁と新しい出会いの夢。七夕の二つの星(下の「日本の縁起」)を思わせる夢で、離れている人との距離が縮まる。星座がくっきり見えた夢は、自分の中の才能が形になってくる夢で、オリオン座のような明るい星座なら、その力を存分に使える時期。
月と星が一緒に出る夢
→ 月
現実で星に出会ったとき
- 流れ星を見た:消えるまでに願いごとを三度唱えると叶う、と言われる。天の扉が開いたときにこぼれる光だから、その間に願いが届く、という由来も語られるが、始まりははっきりしない。昔は流れ星を不吉とする土地もあった。清少納言は『枕草子』で、流れ星を「よばひ星」と呼び、少し趣がある、尾さえなければもっと、と書いている
- 一番星を見つけた:夕方の空に最初に光る星に、願いをかける。一番星は、宵の明星と呼ばれる金星であることが多い。『枕草子』が「すばる」「ひこぼし」と並べて挙げた「ゆふづつ」も、この宵の明星
- 星の形のもの:星形、とくに五芒星は、日本では魔除けのしるしとして使われてきた。下の「晴明桔梗とセーマン」
- 白星・黒星:相撲の勝ち負け。→ 白
日本の縁起
- 七夕:天の川のほとりで機を織る織女と、牛を飼う牽牛は、結婚してから仕事を怠るようになり、天帝に年に一度、7月7日の夜だけ会うことを許された。もとは中国の伝え。織姫はこと座のベガ、彦星はわし座のアルタイルで、暗い空では、二つの星の間を天の川が流れて見える。七夕の雨は → 雨
- 北極星と妙見:北の空でほとんど動かず、ほかの星がそのまわりを巡る北極星を、日本では妙見菩薩として拝んできた。妙見は「すぐれた視力」の意味で、善悪や真理を見通す力を表す。目の病を治し、命を延ばし、災いを除く仏とされ、下総の千葉氏は、甲冑をまとい剣を持つ妙見を一族の守り神とした。星をかたどった九曜紋や月星紋はそのしるしで、いまも千葉神社に北辰妙見尊星王が祀られている
- 晴明桔梗とセーマン:京都の晴明神社では、鳥居の額に社名のかわりに五芒星の「晴明桔梗」を掲げている。安倍晴明が陰陽道で用いた祈祷の呪符の一つとされる。→ 狐。伊勢志摩の海女は、磯手拭いに星形の「セーマン」と格子の「ドーマン」を染めたり縫いとったりして潜る。セーマンは一筆で書いて書きはじめに戻るので、魔の入る隙が無く、無事に戻ってこられる、と言われる。→ 海
- 空海と明星:若き日の空海は、土佐の室戸崎で修行をしたとき、「明星来影す」と書き残した。のちの伝えでは、明けの明星が口に飛び込んできたとされる
タロットの星
大アルカナの17番、星。ウェイト版の絵柄は、空の真ん中に八つの光をもつ大きな星が輝き、そのまわりを、同じく八つの光をもつ七つの小さな星が囲む。その下で、何も身につけていない女性が、片膝を陸に、片足を水の上に置き、二つの大きな水差しから命の水を注いで、海と陸を潤している。後ろの小高い木には、一羽の鳥が降りている。
ウェイトはこの札を、まず希望の札と書いた。深く読めば、不死と、内なる光の札。この札に添えられる標語は「命の水を惜しみなく」と「霊の賜物」。大アルカナでは、雷に打たれて崩れる16番の 塔 のすぐ後に、この札が来る。すべてが崩れたあとの夜空に、まず星が出て、18番の 月、19番の 太陽 と、光が強くなっていく。
星の夢を見た朝にこの札が出たなら、夢と札が同じ夜空を見ている。何かが崩れたあとでも、星はもう出ていて、水は注がれはじめている。
世界の象徴としての星
- ベツレヘムの星:新約聖書のマタイによる福音書で、東方の博士たちは星に導かれて旅をし、星は幼子のいる場所の上で止まった。星は、まだ見ぬものの居場所を教える
- Star light, star bright:英語圏のわらべうた。今夜最初に見た星に、願いが叶いますように、と唱える。一番星に願う習わしは、海の向こうにもある
- シリウスとペガサス:夜空でいちばん明るい恒星は → 犬。星座になった翼の馬は → 馬
北極星は、ずっと同じ星ではない。地球の軸はおよそ2万6千年かけてゆっくり向きを変えていて、いつか、こと座のベガが北極星になる。いまは一年に一度、天の川の向こうの彦星を待っている織姫の星が、いつかは北の空の真ん中で、ほかのすべての星に巡られる星になる。

関連する項目
月・太陽・雨・海・山・狐・犬・馬・白・金色・お金・母親・妊娠・神様・神社・水
今日の一枚
大アルカナから一枚。
