溺れる

溺れる夢は、抱えているものが、自分の背丈を越えてしまった夢とされる。夢の中の水は心そのもので(→ 水)、溺れるのは、その水が足のつかない深さになったとき。夢占いでは警告夢のひとつで、疲れ、不安、手いっぱいの気持ちが、息苦しさの形で出てくる。けれど同じ夢の中に、浮かび上がる力も描かれる。助かった、岸に上がれた、誰かの手をつかめた。読み分けの鍵は、苦しかったか、助かったか、どこの水で、誰が溺れていたか。
溺れる夢の意味
夢占いでは、溺れる夢は感情や出来事に呑まれそうになっていることを表す。仕事が積み重なっている、人間関係で気を張り続けている、言えない不安を抱えている。ひとつひとつは小さくても、合わせると頭の上まで水が来ている。
水は、泳げる深さなら心地よく、足がつかなくなると怖いもの。溺れる夢が教えるのは、今の自分にとって、どこからが深すぎるのか、その境目。
読み分けの鍵は三つ。
- 苦しさ:息ができなかったか、水の中でも落ち着いていられたか
- 結末:自分で浮かび上がれたか、誰かに助けられたか、途中で目が覚めたか
- 場所と人:海か川かお風呂か。溺れていたのは自分か、ほかの誰かか(下の節)
状況ごとの読み
自分が溺れる夢
足がつかず、もがいても沈んでいく夢は、今の状況がお手上げに近いと、心の底が感じている夢。一人で抱えている量が多すぎる。夢の中で水面の光が見えていたなら、出口はもう見えている。
息ができない・本当に苦しい夢
目が覚めても胸が苦しく、息が上がっている。溺れる夢のなかで、いちばん検索される夢。夢占いでは、追い詰められている感じが、体の感覚にまで出てきている夢とされる。言いたいことを飲み込み続けている、休む間もなく動き続けている。目が覚めたら、まず長く息を吐く。夢の中で止めていた息を、起きてから吐き直す。
溺れているのに苦しくない夢
水の中にいるのに、不思議と苦しくない夢。深い感情の中にいても、自分を保って扱える夢。トラブルが起きても、落ち着いて向き合える時期。水の中で息ができた夢は → 水
溺れかける・溺れそうになる夢
沈みかけたところで踏みとどまった夢は、危ういところに気づけている夢。今ならまだ足のつく場所へ戻れる。どの水で溺れかけたかも見る(下の「どこで溺れたか」)。
溺れて助かる夢・自分で岸に上がる夢
溺れる夢のなかで、いちばん安心していい夢。苦しい状況から抜け出せる知らせ。自分で泳いで岸に上がれたなら、立て直す力が自分にある。ロープや浮き輪、流木のような何かにつかまって助かったなら、頼れるものは手の届くところにある。
誰かに助けられる夢
引き上げてくれた人が誰だったかを覚えておく。知っている人なら、その人に話していい時期。ただ、助けられて安心した一方で、どこか落ち着かなかったなら、頼る相手を選び直す夢でもある。
溺れて目が覚める夢
沈んでいく途中で、はっと目が覚めた夢。向き合いきれない気持ちに、夢がそこで幕を引いた夢。目が覚めたこと自体が、水から顔を上げたこと。
人が溺れる夢・溺れている人を助ける夢
誰かが溺れているのを見た夢は、その人を気にかける気持ちの表れ。あるいは、その人の姿を借りて、自分の中の疲れが出てきている。
溺れている人を助け出せたなら、問題を解決する力と、人を支える余裕がある。助けられなかった夢は、目覚めてからも胸が痛む。夢占いでは、自分の力の限りを知る夢で、責める夢ではない。一人で全部を救わなくていい。
誰が溺れたか
- 子ども・赤ちゃん:大事に守りたいものへの気持ち。手が離れていく時期の不安も出る。助けられたなら、その守り方でいい。→ 赤ちゃん
- 家族:家の中の気がかりが、自分の許容を越えかけている。→ 父親、母親
- 恋人・彼氏:二人の関係の中で、どちらかが気持ちを抱えきれずにいる。→ 好きな人
- 知らない人:自分でも気づいていない弱いところや、引け目。→ 知らない人
- 犬・猫:身近な安らぎを守りたい気持ち。人間関係の疲れが出ていることも。→ 犬、猫
どこで溺れたか
- 海:心のいちばん深いところ。大きな喪失感や、底の知れない不安。→ 海
- 川:流れに逆らえない時期。周りの勢いに運ばれている。→ 川
- プール:囲われた場所の水。学校や職場など、決まった場の中での力不足の感じ。足がつくはずの深さで溺れていたなら、思い込みが深さを作っている
- お風呂:いちばん気の抜ける場所の水。油断や、休んでいるつもりで休めていないことへの知らせ。→ 家
- 湖・沼:静かな水の底に沈んだ気持ち。沼なら疲れが溜まっている
- 車ごと沈む:→ 車
- 大雨・洪水:→ 雨
日本の言い伝え
- 河童:川や池にすみ、人や牛馬を水の中へ引き込むと恐れられた。一方で、捕まえられて許された河童が、詫び状を書いて、もう村の者を溺れさせないと約束した、という話が各地に残る。河童は水の神が姿を変えたもの、という説もあり、初物のキュウリを祀った河童に供えてからでないと口にしない、という風習がある土地もある。頭の皿の水が乾くと力を失う、とも言われる
- 河童の川流れ:泳ぎの得意な河童でも、水に流されることがある。名人でもしくじることがある、というたとえ。水に慣れているはずの自分が溺れる夢は、この言葉の通り、得意なことで無理を重ねていないかを見る夢
- 溺れる者は藁をも掴む:危ういときには、頼りにならないものにもすがる。英語のことわざ "A drowning man will catch at a straw" が、明治以降に訳されて定着した
- 水天宮:福岡県久留米市の水天宮は、全国の水天宮の総本宮。壇ノ浦の戦いのあと、平家に仕えた女官が筑後川のほとりに祀ったのが始まりと伝わる。安産、子授けとともに、水難除けと海上安全の神でもある。東京・日本橋の水天宮の安産の帯は → 犬
タロットでは
- 月:二つの塔のあいだを道が地平へ続き、犬と狼が月に吠える。手前の水たまりから、ザリガニが陸へ這い上がろうとしている。ウェイトはこれを、深みから上がってくるものが、水の淵から陸へ這い出して姿を得ようとする姿と書き、月から露が落ちるこの場面の告げることを「静まれ、落ち着け」とした。溺れる夢を見た夜の札で、水の底のものが陸へ上がる途中を描いている
- 星:裸の女性が、片膝を陸につき、片足を水の上に置いて、二つの大きな水差しから命の水を注いで、海と陸とを潤している。溺れていた水に、そっと足を載せている札。溺れる夢のあとにこの札が出たなら、同じ水が、今度は自分を潤す側に回っている
聖書のなかの溺れかけた人
新約聖書のマタイによる福音書で、弟子のペトロは、湖の上を歩いてくるイエスを見て、自分も舟から降りて水の上を歩き出す。けれど強い風に気づいて恐ろしくなり、沈みかけて「主よ、お助けください」と叫ぶ。イエスはすぐに手を伸ばして、彼をつかまえた。
沈みかけたペトロを引き上げたのは、叫んだ声と、差し出された手だった。夢の中で溺れかけて、誰かの手をつかんだ人も、声を上げたところから助かりはじめている。

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