鳩

鳩は、帰る場所を知っている鳥として読まれてきた。遠くで放されても、まっすぐ巣へ戻ってくる。夢でも、日本の縁起でも、聖書の物語でも、鳩が出てくるところには「落ち着ける場所と、そこへ届く便り」という筋が通っている。日本では八幡さまの使い、西洋では洪水の終わりを告げた鳥で、今は平和のしるしとして世界中で描かれる。
鳩の夢
夢占いでは、鳩の夢の多くは吉夢とされる。表しているのは、穏やかさ、家庭や仲間との和、よい便り、そして恋の縁。
読み分けの鍵は、鳩が落ち着いていたか、ざわついていたか。地面で静かに餌をついばんでいた、そばで羽を休めていた鳩なら、今の暮らしに安らげる場所がある。いっせいに飛び立った、羽ばたきがうるさかった鳩なら、周りとの関わりのなかで気持ちが休まっていない。
白い鳩の夢
鳩の夢のなかでいちばんの吉夢。争いごとが収まる、待っていた知らせが届く、誰かとわかり合える、という夢。白い鳩が手元へ降りてきたなら、その和解や知らせは自分のすぐ近くにある。→ 白
たくさんの鳩・大量の鳩の夢
群れで穏やかにいたなら、人に恵まれる時期。仲間や家族との集まりが、自分を支えてくれる。広場を埋めるほどの鳩に囲まれて息苦しかったなら、付き合いの多さに疲れて、一人の時間を欲しがっている。
鳩に餌をやる夢・鳩がなつく夢
自分が差し出したものが、ちゃんと受け取られている夢。人に手を貸したこと、気持ちを向けたことが、穏やかな縁になって返ってくる。鳩が手や肩に乗ってきたなら、周りから信頼されている。→ 鳥
鳩に襲われる・鳩を追い払う夢
ふだんはおとなしい鳥が迫ってくる夢は、身近な人の小さな不満や、断りきれない頼みごとが積もっているしるし。追い払えたなら、自分の場所を自分で守る力が戻ってきている。追い払ったあとに後ろめたさが残ったなら、遠ざけたい相手と、本当は話し合いたい。
鳩が家に入ってくる夢・鳩が巣を作る夢
家に和やかさが入ってくる夢。家族の間のわだかまりが解けていく、あるいは家に新しい人を迎える。巣を作っていたなら、落ち着いて根を下ろせる場所が見つかる時期。→ 家
鳩の卵・ヒナの夢
鳩は雄と雌が交代で卵を温め、どちらもヒナに餌を与えて育てる。鳩の卵の夢は、誰かと力を合わせて育てていくものが生まれる前触れ。恋人や家族との計画が温まっている。→ 卵
つがいの鳩の夢
二羽で寄り添う鳩は、恋愛の吉夢。好きな人との仲が穏やかに深まる。片方が飛んでいってしまったなら、相手との距離が気がかりになっている。→ 好きな人、結婚
伝書鳩の夢・手紙を運ぶ鳩の夢
待っていた返事や知らせが届く夢。脚に手紙をつけた鳩がこちらへ向かってきたなら、遠くにいる人や、しばらく会っていない人からの便り。自分が鳩を放したなら、伝えたいことを伝える時期に来ている。
鳩のフンが落ちてくる夢
鳥のフンの夢と同じく「運がつく」夢で、宝くじと一緒に検索されることが多い。→ 宝くじ
鳩が死ぬ夢・怪我をした鳩の夢
穏やかだった関係や暮らしに、ひとつ区切りが来る夢。けんかのあとで見たなら、元に戻すより、新しい形で付き合い直すときが来ている。怪我をした鳩を手当てしていたなら、傷ついた関係を自分の手で直していける。
現実で鳩に出会ったとき
- ベランダに鳩が巣を作った・住み着いた:八幡さまの使いが来たとして、落ち着く場所ができたしるしと受け取る人もいる。卵を産んだなら、家に育つものが増える知らせとして読まれる
- 玄関に鳩がいた:よい便りや客が近づいているしるしとして読まれる
- 神社で鳩が寄ってきた:八幡宮の鳩なら、神の使いに迎えられたとして喜ばれる。→ 神社
- 鳩の羽根を拾った:穏やかさが守られているしるし。白い羽根なら、なお。→ 白
- 黒っぽい鳩が来た:町の鳩は色の幅が広く、黒っぽい鳩は珍しくない。黒の読みは → 黒
日本の縁起
- 八幡さまの使い:鳩は八幡神の使いとされる。『八幡宇佐宮御託宣集』には、八幡神が金色の鷹の姿で現れ、のちに金色の鳩に化したという話がある。鎌倉時代までには、鳩は八幡神の化身や使いとして知られていた。源氏の武将のもとに鳩が現れた、という話も多く伝わる。→ 神様
- 石清水八幡宮の白い鳩:貞観元年(859年)、僧の行教が九州の宇佐八幡宮から京都の男山へ八幡神を迎えたとき、白い鳩が道案内をしたと伝わる
- 鳩でできた「八」の字:石清水八幡宮の一の鳥居と、鎌倉の鶴岡八幡宮の本宮楼門に掛かる額は、「八幡宮」の「八」の字が向かい合う二羽の鳩の形で書かれている。両社には鳩の形のおみくじ「鳩みくじ」もある
- 鳩杖:握りに鳩の飾りをつけた杖。中国の『後漢書』に「鳩はむせない鳥だから、老人がむせないように」とあり、日本でも宮中から80歳以上の功臣に贈られた。長寿を祝うしるし
- 鳩に三枝の礼あり:子鳩は親鳩より三本下の枝にとまって礼をわきまえる、という言い伝え。「烏に反哺の孝あり」と対になっている。→ カラス
タロットの鳩
鳩がはっきり描かれた札は、ウェイト版ではカップのエースの一枚。星の札の鳥も、同じ希望の鳥として重ねて読まれる。
- カップのエース:雲から出た手が杯を捧げ、杯から四本の流れが水面へこぼれる。そこへ、十字のしるしの聖餅をくわえた鳩が降りてくる。ウェイトは、真心の住まい、喜び、満ち足りること、豊かさの札とした。鳩が手元へ降りてくる夢と同じ像をもつ札
- 星:水を注ぐ女性の後ろの木に、一羽の鳥が降りている。鳩とは書かれていないが、希望の札。洪水のあとに若葉を運んできた鳩(下の節)と、同じことを言っている
世界の象徴としての鳩
- ノアの箱舟:旧約聖書の創世記。大洪水のあと、ノアはまず烏を放ち、次に鳩を放った。二度目に放した鳩は、夕方、くちばしにオリーブの若葉をくわえて戻ってきた。地から水が引き始めたしるし。さらに七日待って放した鳩は、もう戻らなかった。→ カラス、水
- 聖霊の鳩:新約聖書で、イエスがヨルダン川で洗礼を受けたとき、天が裂けて、聖霊が鳩のように降ってきた
- ピカソの鳩:1949年4月、パリの平和会議のポスターに、ピカソの描いた白い鳩が使われた。会議の前日に生まれた娘に、ピカソはスペイン語で鳩を意味する「パロマ」と名づけている
ノアの鳩が最後に戻ってこなかったのは、降りて暮らせる土地が見つかったから。ベランダに巣をかけた鳩も、夢の中で手に降りてきた鳩も、くわえてくるのは、その若葉のような知らせ。

関連する項目
鳥・カラス・白・黒・卵・家・神社・神様・好きな人・結婚・宝くじ・水
今日の一枚
大アルカナから一枚。
