カラス

カラスは、道を知っていて、先に立って案内する鳥として読まれてきた。熊野の神の使いとして神武天皇を大和へ導き、北欧では主神に世界の出来事を知らせた。黒い姿と大きな声から不吉な鳥と見られることも多いが、日本の古い信仰では、カラスは神と人との約束を見届ける鳥だった。夢に出てくるカラスも、怖がらせに来たのではなく、まだ見えていない道筋を知らせに来ている。
カラスの夢
カラスの夢は凶夢と思われやすいが、夢占いでは吉にも凶にも読まれる。表しているのは、知らせ、導き、知恵、そして自分の中の警戒心。
読み分けの鍵は、カラスが自分の先を飛んでいたか、自分に向かってきたか。前を飛んでいた、少し離れたところから見ていたカラスは、案内役。行き先や判断のヒントが近くにある。向かってきた、つついてきたカラスは、自分が見ないようにしていることを、強い調子で知らせている。
カラスに襲われる・つつかれる夢
いちばん多く検索される、怖いカラスの夢。夢占いでは、後回しにしている問題や、人から向けられている言葉が、自分をつついている夢とされる。頭をつつかれたなら、考えすぎて疲れている。追い払えた、逃げ切れたなら、その件を片づける力は自分にある。→ 追いかけられる
カラスの大群・カラスが集まる夢
空を黒く覆うほどのカラスは、周りの噂や情報が一度に押し寄せている状態。落ち着かない時期だが、大群が一方向へ飛んでいったなら、ざわめきは通り過ぎていく。電線や屋根に静かに並んで見下ろしていたなら、人の目が気になっている。
カラスが鳴く夢
鳴き声がはっきり耳に残ったなら、大事な知らせを聞き逃さないように、という夢。明るく澄んだ声なら、朗報が届く。しわがれた声、いつまでも鳴きやまない声なら、気がかりなことを先延ばしにしている。
カラスがなつく・肩にとまる夢
カラスの夢のなかでは吉夢。賢い鳥が味方についた夢で、頭が冴えて、物事の筋道が見えてくる時期。肩にとまったなら、信頼できる相談相手が近くにいる。かわいいと感じたなら、ふだん苦手に思っている人や物事の中に、頼れるものが隠れている。
カラスが物を持ってくる・くわえていく夢
カラスが光るものや木の実を運んできた夢は、思いがけない贈り物や収入の知らせで、宝くじと一緒に検索される夢でもある。反対に、自分の物をくわえて飛び去った夢は、大事なものを手放しかけていないかを確かめる夢。→ 宝くじ、お金
カラスが家に入ってくる・ベランダに来る夢
家に知らせが舞い込む夢。家族の誰かから、打ち明け話や相談が来る。家の中で暴れて出られなかったなら、家族の間で言えずにいることがある。→ 家
白いカラスの夢
めったにいないものの夢。人とは違う考えや、自分だけが気づいていることが、表に出る時期。ギリシャ神話では、カラスはもともと白い鳥だった(下の「世界の象徴としてのカラス」)。→ 白
三本足のカラス・八咫烏の夢
導きの夢のなかでもいちばん強い夢。迷っていることに、進む道が示される。八咫烏の話は → 黒
カラスが死ぬ夢
警戒していたことや、構えていた気持ちが、ひとつ解ける夢。張りつめていた時期が終わる。死んだカラスを見て悲しかったなら、厳しくしてくれた人への感謝がまだ言えていない。
現実でカラスに出会ったとき
- カラスがしきりに鳴いた:昔の日本では、カラスの鳴き声で吉凶を聞き分けることを「烏鳴き(からすなき)」と言った。元禄のころの浮世草子にも出てくる言葉で、よい鳴き方と悪い鳴き方の聞き分けは、土地ごとに違った。いつもと違う鳴き方が気になったなら、その日は身の回りに少し目を配る日として受け取ればいい
- 夕方、カラスが鳴きながら帰っていった:童謡「七つの子」(野口雨情作詞、1921年)は、カラスが鳴くのは山にかわいい七つの子がいるから、と歌う。夕方のカラスの声は、帰る場所や待っている人を思い出させる声
- カラスと目が合った・近寄ってきた:導きの鳥に見つけてもらったしるし。気になっていることがあるなら、動き出していい
- カラスの羽根を拾った:→ 黒
- 神社でカラスに会った:熊野や厳島のように、カラスを神の使いとする神社がある(下の「日本の縁起」)。→ 神社
日本の縁起
- 熊野の八咫烏:熊野三山では、カラスは神の使い。神武天皇を熊野から大和へ導いた八咫烏の話は → 黒。日本サッカー協会の旗にある三本足のカラスは、1931年に採用が決まったもので、協会は太陽を図案化したものと説明している
- 熊野牛王神符(おからすさん):熊野三山が出す護符で、「熊野山宝印」などの文字がカラスの絵で書かれている。熊野本宮大社のものは八十八羽。鎌倉時代から誓約書に使われ、江戸時代には起請文の代わりになった。裏に誓いを書き、その誓いを破ると熊野の烏が一羽(三羽とも)死に、破った本人も血を吐いて地獄に堕ちる、と信じられた。「三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい」という都々逸は、高杉晋作の作と伝わる。起請を破ってでも一緒にいたい、という恋の歌。本宮大社では、かまどの上にまつれば火難を免れる、とも伝える
- 厳島神社の御烏喰式(おとぐいしき):宮島を船で巡る神事の途中、養父崎の沖で粢団子(しとぎだんご)を海に浮かべて供える。神烏が飛んできて団子をくわえていけば吉とされる
- 烏に反哺の孝あり:カラスは、育ててもらった恩を返すために、年老いた親の口へ餌を運ぶ、という言い伝え。「鳩に三枝の礼あり」と対になっている。→ 鳩、母親、父親
- 烏の濡れ羽色:水に濡れたカラスの羽のような、艶のある黒髪をほめる言葉。カラスの黒は美しさの色でもある。→ 髪の毛
タロットのカラス
ウェイト版には、カラスが描かれた札は無い。読みが重なるのは次の2枚。
- 隠者:山の上で、星の光るランタンを掲げる老人。ウェイトはこの灯りを「私のいるところへ、あなたも来られる」というしるしとした。先に立って道を照らす役は、八咫烏と同じ
- 月:二つの塔のあいだを、見えないところへ続く道が延びている。犬と狼が月に吠え、水から生き物が這い上がる。照らすのは月の照り返しの光だけ。薄暗がりの中で道を探すカラスの夢と、同じ場面を描いた札。→ 月
世界の象徴としてのカラス
- ノアの烏:旧約聖書の創世記で、大洪水のあと、ノアが最初に放ったのは烏だった。烏は地から水が乾くまで、あちこちを飛び回った。オリーブの若葉を持ち帰ったのは、そのあとに放された鳩。→ 鳩
- エリヤを養った烏:列王記では、ケリテ川のほとりに身を隠した預言者エリヤのもとへ、烏が朝と夕にパンと肉を運んだ
- 白かったカラス:オウィディウス『変身物語』では、アポロンに仕えるカラスはもともと雪のように白かった。アポロンの恋人コロニスの裏切りを告げ口したために、黒い鳥に変えられた
- フギンとムニン:北欧神話の主神オーディンの二羽のカラス。→ 鳥
「七つの子」は、山の古巣へ行ってみると、丸い目をしたいい子がいる、と歌い終わる。熊野の誓いを見届け、年老いた親へ餌を運び、夕方には子の待つ山へ帰っていく。夢の中で先を飛んでいたカラスも、その帰り道を知っている鳥。

関連する項目
鳥・鳩・黒・白・月・神社・神様・家・追いかけられる・宝くじ・お金・母親・父親・髪の毛
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