緑

緑は、芽吹いて育っていく命の色として、そして冬にも色を変えない常磐(ときわ)の色として読まれてきた。「みどり」は、もとは色の名前ではなく、草木の新芽のことだった。生まれたばかりの子を「みどりご」と呼び、つややかな黒髪を「緑の黒髪」とたたえたのも、みずみずしく伸びていくものを「みどり」と言ったから。夢でも、縁起でも、タロットでも、緑が出てくるところには「芽を出して、枯れずに育ち続ける」という筋が通っている。
緑の夢
緑が印象に残る夢は、夢占いでは回復と成長の夢とされる。表しているのは、癒し、若返り、人とのおだやかな関係、そして芽を出したばかりの計画や気持ち。
読み分けの鍵は、その緑が育っていたか、しおれていたか。青々と茂る葉、光を浴びる若葉、一面の草原は、心身が持ち直して、始めたことが根を張っている。黄ばんだ葉や枯れかけた鉢植えは、力を注ぐ先が散らばって、自分に水が届いていない。どちらも、緑は手をかけた分だけ育つものを表している。
新緑・若葉の夢
芽吹いたばかりの明るい緑の夢は、新しく始まったことが順調に伸びていく知らせ。若葉に日が透けていたなら、気持ちが軽くなって、人にも素直に向き合える時期。
観葉植物・鉢植えの夢
葉がつやつやと茂っていたなら、家の中や身近な人との関係が整っている。枯れる、折れる、倒れる夢は、疲れがたまっているか、世話を後回しにしている大事なものがある知らせ。水をやって持ち直した夢なら、少し手をかければ元に戻る。→ 家
森の夢
森の中を歩く夢は、自分の心の奥へ入っていく夢。木漏れ日が差していたなら、考えを深める時間が実りにつながる。暗い森で迷う夢や、森が怖かった夢は、答えの見えないことを一人で抱えている時期。森の奥に神社や祠を見つけた夢は、迷いの中で拠りどころが見つかる知らせ。→ 迷う、神社
草原・芝生・田んぼの夢
広い草原を走る夢は、のびのびと力を出せる時期。芝生に寝転ぶ夢は、心から休めている。青々とした田んぼの夢は、今は目に見えなくても、秋に向けて実りが育っている。
緑の服の夢
自分が緑の服を着ていたなら、心身が回復に向かっていて、人に安心感を与える時期。知らない人が緑の服で出てきたなら、その人は癒し手か、成長を助けてくれる人。
緑の光の夢
緑の光に包まれる夢は、疲れた心や体が癒されていく夢。光が胸のあたりに入ってきたなら、こじれていた人間関係がほどけていく。
エメラルドグリーンの海・湖の夢
透きとおった緑の水は、心の濁りが澄んで、素直な気持ちが戻ってくる吉夢。泳いでいたなら、その澄んだ流れに自分も乗っている。→ 海、水
エメラルド・翡翠の夢
緑の宝石を拾う、もらう夢は、長く続く縁や、自分の中の変わらない価値に気づく知らせ。エメラルドの指輪なら、誠実な愛情。→ 指輪
緑の生き物の夢
現実で緑に出会ったとき
- 緑のカメムシ・カナブンが来た:スピリチュアルでは、緑の虫は体と心の回復の使いとして読まれる。玄関に来たなら、家に新しい気が入ってくる合図
- 緑の蜘蛛を見かけた:朝の蜘蛛は福を運ぶと言われてきた。スピリチュアルでは、緑の蜘蛛は癒しと成長の知らせとして喜ばれる。→ 蜘蛛
- 緑の光が写真に写った:神社で写ったなら、その土地の緑の気に迎えられたしるしとして受け取られる
- 緑の火球を見た:夜空を緑に光って流れる大きな流れ星。見たその場で願ったことは、心の底からの願い
- グリーンフラッシュを見た:晴れた日の水平線に太陽が沈みきる一瞬、緑の光が走ることがある。ジュール・ヴェルヌの小説『緑の光線』(1882年)では、この光を見た人は自分の心も相手の心も見誤らなくなる、という言い伝えが語られる
日本の縁起
「みどり」は、もとは新芽、とくに松の新芽を指す言葉で、そこから色の名前になった。今も松の若芽を「若緑」と呼ぶ。日本では緑を「青」とも呼び、青葉も青信号も緑をさす。→ 青
- 緑の黒髪:黒くつやのある、みずみずしい髪。新芽のみずみずしさを、髪にたとえた言葉。→ 髪の毛
- みどりご:701年の大宝令では、3歳以下の子を「緑」と区分した(のちの養老令では「黄」)。生まれたばかりの命は、芽吹いたばかりの緑と同じ言葉で呼ばれた。→ 赤ちゃん
- 常磐の松と門松:松は冬にも葉の色を変えないことから、変わらない命と長寿の木とされた。正月の門松は、年神を迎える依り代。「松は千歳を契り、竹は万代を契る」と言われる。松・竹・梅は、中国で寒さに耐える「歳寒三友」とされた取り合わせで、『論語』にも「歳寒くして然る後に松柏の彫むに後るるを知る」とある
- 影向(ようごう)の松:奈良の春日大社の一之鳥居を入ってすぐの松。春日の神が翁の姿で降り、舞を舞ったと伝わる場所。神は、枯れない緑に降りてくる。夫婦の長寿を祝う高砂の松は → 祖父
- ヒスイ:新潟県糸魚川のヒスイは、縄文時代から勾玉などの装身具に磨かれてきた。2016年、日本鉱物科学会が日本の「国石」に選んだ
タロットの緑
ウェイト版では、緑は育つ力と、手に触れられる豊かさの色として描かれる。
- ワンドのエース:雲から出た手が、若葉の芽吹いた杖を握る。ウェイトは、ワンドのスートの杖は「どれも葉をつけている、命と活力のスートだから」と書いた。新緑の夢を見た日にこの札が出たなら、芽を出したものに勢いがある
- 女帝:実った麦畑を前に、森と流れ落ちる滝を背にして座る女性。育む力の札
- ペンタクルのエース:雲から出た手が金貨を掲げ、その下に百合の咲く庭と、生け垣のアーチが広がる。育てた庭が、形ある実りになる
観葉植物が茂る夢の日に 女帝 が出たなら、夢と札が同じ育む力を映している。森と滝を背にした女帝のように、手をかけてきたものに囲まれている時期。
世界の象徴としての緑
- グリーンマン:ヨーロッパの教会の柱や天井に彫られた、葉に覆われた顔。口や鼻から枝葉が伸びている。12世紀のイギリスに現れ、13〜15世紀のゴシック建築で好まれた。毎年春にめぐってくる芽吹き、生まれ直しの象徴とされる
- オシリスの緑の肌:古代エジプトの再生の神オシリスは、緑の肌で描かれることがあった。緑は、草木がよみがえる再生の色。黒い肌の姿は → 黒
- 楽園の緑:コーランでは、楽園に住む人は緑の絹の衣をまとうとされる。イスラムの世界で緑は、楽園と安らぎの色
- 妖精の緑:スコットランドやアイルランドでは、緑は妖精の色で、人が着ると妖精の怒りを買うと言われた。イングランドには、緑の服で結婚するのは縁起が悪い、という言い伝えがある
- 緑の帽子:中国では「緑の帽子をかぶる」が、妻に浮気された男を指す。明の時代、遊郭の家の男に緑の頭巾をかぶらせた決まりから出た言葉とされる。中国の人に緑の帽子を贈らないのはそのため
教会の石のグリーンマンは、冬のあいだも口から葉を伸ばしたまま、何百年も春を待っている。夢に出てきた緑がまだ小さな芽でも、それは松の「みどり」と同じ、これから枝になる芽。

関連する項目
青・白・黒・金色・カエル・蛇・蝶・蜘蛛・海・水・指輪・家・神社・迷う・赤ちゃん・髪の毛・祖父
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