鹿

鹿は、神様を背に乗せて遠くから来た使いとして読まれてきた。奈良の春日大社には、鹿島の神が白い鹿に乗ってやって来たという話が残り、今も鹿は神の使いとして町を歩いている。雄鹿は毎年春に角を落とし、また新しい角を生やす。夢では、自分の中のやわらかく敏い部分と、そこに届いた便りの姿で出てくる。中国では鹿は「禄」と同じ音で、実りと出世の縁起にもなる。
鹿の夢
夢占いでは、鹿は優しさ、感受性、品のよさ、恋愛、そして神仏からの知らせの象徴。鹿の夢は、気持ちが細やかに動いているとき、誰かの思いを受け取りかけているときに見やすい。「鹿」と「禄」の音が重なることから、収入や地位が上がる知らせとも読まれ、鹿の夢を見て宝くじを買う人もいる。→ 宝くじ、お金
読み分けの鍵は、鹿がこちらとどんな距離にいたか。静かにこちらを見ていた、近づいて鼻先を寄せてきたなら、自分の感覚が澄んでいて、良い便りが届く時期。すぐに逃げていった、遠くで立ちすくんでいたなら、自分の繊細な部分が少し怯えている。
白い鹿の夢
鹿の夢のなかでいちばんの吉夢。白い鹿は神の乗り物とされてきた。白い鹿がこちらを見ていた、先を歩いていたなら、大きな守りがついて道が開けていく。→ 白、神様
黒い鹿の夢
まだ人に見せていない、自分の奥の感覚。スピリチュアルでは、黒い鹿は静かな守りと読まれることがある。怖かったなら、自分の直感をまだ信じきれずにいる。→ 黒
牡鹿・角の立派な鹿の夢
誇り、力、そして地位の夢。立派な角の牡鹿が堂々と立っていたなら、仕事での評価や立場が上がる。角が落ちていた、角を拾った夢は、古い自分を脱いで新しく伸びていく時期。雄鹿の角は毎年抜け落ちて、また生えてくる。
雌鹿・子鹿・鹿の親子の夢
優しさと、守りたいものの夢。子鹿を助ける夢は、身近な誰かの支えになれる知らせで、子鹿を飼う夢は、まだ小さな恋や計画を大事に育てていく時期。鹿の親子が寄り添っていたなら、家族や身近な人との間に温かい時間が来る。
鹿がなつく夢
恋愛運の吉夢。警戒心の強い鹿が自分から寄ってくるのは、気にかけていた相手が心を開きかけている知らせ。手から何かを食べてくれたなら、その好意は受け取っていい。
鹿に追いかけられる・襲われる・噛まれる夢
優しいはずのものに追われる夢。恋愛で相手の気持ちが自分より強くて戸惑っている、あるいは、自分の繊細さが周りの声に押されている。噛まれたなら、穏やかな相手の中にある言えなかった本音に、もう気づきかけている。逃げ切ったあとで鹿が立ち止まってこちらを見ていたなら、責められていたのではない。→ 追いかけられる
鹿が怪我をしている・死ぬ夢
自分の感受性が疲れている夢。人の気持ちを受け取りすぎて、心がすり減っている。傷ついた鹿の手当てをしていたなら、休めば戻る。鹿が死ぬ夢は、ひとつの恋や、繊細に守ってきた何かが形を変える夢で、終わりではなく、角が落ちて生え替わるところ。
たくさんの鹿・鹿の群れの夢
穏やかな人の輪が広がる夢。群れが静かに草を食んでいたなら、居心地のいい仲間に恵まれる。一斉に駆け出したなら、周りの空気に合わせて慌てている。
鹿が家に入ってくる夢
神様の使いが家を訪ねてくる夢。家に良い知らせや縁が入ってくる。鹿がくつろいでいたなら、家の中が落ち着いていく。→ 家
神社で鹿に会う夢・鹿がお辞儀をする夢
神社の境内で鹿に会う夢は、お参りの願いが届いている知らせ。奈良の鹿は、人に向かって頭を上下させる仕草で知られる。夢の鹿にお辞儀をされたなら、自分が迎え入れられている。→ 神社
現実で鹿に出会ったとき
- 野生の鹿を見た・目が合った:スピリチュアルでは、神の使いに出会ったとして受け取られる。目が合ったなら、自分の直感が澄んでいる時期
- 鹿が前を横切った:流れが静かに変わる合図として読める。急いでいた足を少しゆるめると、見落としていたものが目に入る
- 神社で鹿に会った:埼玉の三峯神社などでは、参道で鹿に出会ったことを、神様に迎えられたしるしと受け取る参拝者が多い
- 秋に鹿の鳴き声を聞いた:秋は鹿が相手を呼んで鳴く季節。恋しい人を思い出したなら、その気持ちは届けていい
日本の縁起
- 春日大社の神鹿:奈良時代の創建にあたって、鹿島の神・武甕槌命が白い鹿に乗って奈良の御蓋山へやって来たと伝わる。そのため春日の鹿は神の使いとして大切にされてきた。→ 白、神様
- 鹿島神宮の神鹿:茨城の鹿島神宮にも鹿園があり、神鹿が飼われている。古事記の国譲りの話で、天照大御神の言葉を武甕槌命のもとへ伝えたのが天迦久神という神で、その名の「カク」は鹿に通じるとされる。鹿は、神の言葉を運ぶ使いだった
- 奈良のシカ:1957年に国の天然記念物に指定された。雄の角を切る「鹿の角きり」は、寛文11年(1671年)、角で人が傷つかないよう、当時鹿を管理していた興福寺が奈良奉行の求めで始めたとされる
- 太占(ふとまに):古事記の天の岩屋の場面で、神々は天香山の雄鹿の肩の骨を抜き取り、ははかの木で焼いて、ひびの入り方で占った。鹿の骨は、神の意を問う道具だった
- 寿老人と鹿:七福神の寿老人は、鹿を連れた姿で描かれる。中国では「鹿」と「禄」が同じ音で、鹿は俸禄、つまり実りと出世を運ぶ生き物とされた
- 秋の鹿と紅葉:百人一首の猿丸大夫の歌に「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき」とある。花札の十月も紅葉に鹿。秋の鹿の声は、恋しい相手を呼ぶ声として詠まれてきた
タロットの鹿
ウェイト版に鹿が描かれた札は無い。鹿の優しさ、森の豊かさ、水を求める姿に重なる札を並べて読む。
- 女帝:星の冠をつけた女性が、実った麦畑を前に、森と流れ落ちる滝を背にして座る。自然の豊かさと、慈しむ力の札。雌鹿や鹿の親子の夢を見た日にこの札が出たなら、守りたいものを大事に育てていい
- 星:裸の女性が片膝を岸に、片足を水につけて、二つの器から水を注ぐ。夜の水辺の静けさと希望の札。傷ついた鹿の夢のあとにこの札が出たなら、心は回復に向かっている。→ 星、水
- ペンタクルのクイーン:ばらの茂みの下の玉座で、女王が金貨を膝に抱き、足もとの隅にうさぎがいる。森の小さな生き物に囲まれた、静かな実りの札。鹿と「禄」の縁起に重なる
世界の象徴としての鹿
- 鹿野苑:インドのサールナートにあった鹿の園。悟りを開いた釈迦が、はじめて教えを説いた場所とされる
- エイクスュルニル:北欧神話で、神々の館ヴァルハラの屋根に立つ牡鹿。木の枝を食み、その角から滴る水が泉フヴェルゲルミルに落ち、そこから世界中の川が流れ出す
- ケルヌンノス:ケルトの、鹿の角をもつ神。デンマークで見つかったグンデストルップの大釜に、角を生やして座る姿が刻まれている
- 聖フベルトゥスの鹿:狩りに夢中だった若者フベルトゥスが、聖金曜日の森で、角の間に十字架を掲げた牡鹿に出会い、生き方を改めたという伝説。もとは聖エウスタキウスの話で、15世紀にフベルトゥスへ移った
北欧の牡鹿は、角から滴らせた水で世界の川を満たした。春日の鹿は、遠い鹿島から神様を背に乗せて奈良まで歩いた。夢に鹿が出てきたなら、その鹿がどこから来て、何を運んできたのかを、角の先まで覚えておくといい。

関連する項目
白・黒・神社・神様・お金・宝くじ・家・星・水・牛・犬・狐・追いかけられる
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大アルカナから一枚。
